サパの旅(2)~別格の存在感、旅情そそる夜行寝台列車

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 夜行寝台ビクトリア・エクスプレスの車内は大変奇麗。清潔なパリッとしたシーツが美しい。さすがベトナム一の列車だけに乗ってみる価値があった。車内WiFiは常時無料接続OK、回線状況もよくサクサク感満点。アオザイ姿のキャビンアテンダントが早速、軽食のオーダーを取りにやってくる。これだけは別途料金かかる。

 夜22時、夜行寝台ビクトリア・エクスプレスはアナウンスもなく滑り出す。定刻出発だ。運ばれてきたビールを飲み、軽食をつまみながら、車窓風景であるハノイの街の夜景を楽しむ。列車の旅、特に夜行寝台の旅はやはり旅情をそそるものだ。昨今飛行機の時代になったからこそ、列車は別格の存在感を確立したのだともいえよう。

 「ビクトリア・エクスプレス」という名がついているが、「エクスプレス」に似合わないほど普通列車、いや、むしろさらに遅い鈍行に近い。停車駅が多いわけではない。列車のスピードが遅いのと、単線区間での待ち合わせ時間が長いのとが相まって「低速化」を実現したのだった。走行中の振動も凄くて、あまり熟睡できる状態ではない。

 翌朝6時にラオカイ到着の予定だが、時間になっても一向に着く気配がない。GoogleマックのGPSを見たら、まだ数十キロもの道のりが残っている。まあ、どうでもいい。ホテルに到着しても、予定がなくゆっくりするだけだから、むしろ旅情たっぷりの鉄道の旅を楽しんだほうがいい。

ラオカイ駅で下車

 1時間遅れて、10月12日(金)朝7時、列車は終着ラオカイ駅に滑り込む。駅のホームにはすでにポーターと運転手が待機していた。テキパキと荷物を運び、車に積み込むと、早速サパに向けて出発。

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