積丹と小樽の旅(6)~積丹岬の鱗晃荘、肉も野菜もない海鮮料理の夕食

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 9月13日(金)。今宵の宿は積丹岬にある鱗晃荘。

 積丹半島の宿はどれも庶民的で気取らない。しかも、温泉のついていない宿が多いような気がする。私はとにかく食を第一条件に宿を選ぶわけだから、清潔で美味しい料理を出してくれればそれで問題ない。

 この宿の宣伝文句というか、注意書きが面白い――。

 「当館のご夕食は大変ボリュームがございます。ご夕食の画像等をご参考に、お腹とご相談の上、ご予約くださいませ」。さらに詳しい補足がある。

 「当館のお食事には、肉料理や野菜料理は一切ございません。テーブルの上には海の幸のみです。海鮮がお好きな方にご満足いただけるようにご用意しておりますが、お肉やお野菜をバランス良く召し上がりたい方には、アンバランスなお料理かもしれません」

 野菜不足になりそうだ。仕方なく途中の八百屋で野菜を買い込んで、夕食前の時間を利用して、まず野菜の補給を始める。一通り事前準備を整えて、さあ、いざ出陣と、食堂へ向かう。

 やはり注意書きの通りだった。野菜も肉もない。海鮮、海鮮、また海鮮。胃袋がストップコールのシグナルを出すまで、とにかくひたすら海鮮を食べ続ける。これは積丹に来なければできないことだ。

 酒もまた進む。食べすぎ、飲みすぎ。幸せだ。ご馳走様でした。

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