積丹と小樽の旅(11)~郷土割烹「総本家日野」、質も量も圧巻の美食隠れ屋

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 9月16日(月)、小樽滞在の最終日。夕食は、郷土割烹の「総本家日野」でいただく。

 小樽市内、閑静な住宅街に佇む屋敷はなんと明治時代の建築物である。入り口から見えているのは座敷の窓。左側にある玄関から入ると、座敷は壺や食器の骨董、装飾で圧巻。ちょっとした博物館ではないかと錯覚する。座卓はすでに用意されていた。これはこれは、ちょっと驚きだ。

 本日は祝日で本来ならば休みだった。2日前に予約の電話を入れると、せっかく遠方からの客で店を開けますよと店主が快諾。なので、客は1組だけという貸切状態。贅沢!ただあいにくも連休のため、卸市場が閉まっていてあまり仕入ができないので、質素な献立で勘弁してくれという事前の断りがあった。

 これが質素というのか?!

 目の前に出てきたこの特大舟盛り、いやモンスター級の舟盛りだ。2人前よりも4人前以上の量がある。しかも中身を見ていると、目が点になってしまう。豪華、とにかく豪華。これが質素というなら、立派な「詐欺罪」だ。9月中旬は、ウニが終わり、アワビが始まる直前という難しい時期でしかも市場が休み。ならばシーズン中はどうなるのか?考えるだけで鳥肌が立つ。

 モンスター舟盛りと格闘して45分、やっと平らげられたところ、出てきたのはまたもや、特大サイズの焼きニシン。しかも、1人に丸1匹というのだ。普通はシェアするだろうが、「いや、北海道は1人1匹が普通ですよ」という店主の日野孝則氏。普通じゃないですよ、これ。仕方なく、ニシンとの格闘が始まる。

 まだある。主食のおかずは、カニ鍋。またもや、モンスターサイズ。どーんっと一面にカニ肉。怠け者の私には、カニのむき身ほど都合の良いものはない。それにしてもこの量ではびっくりする。意外にもカニがお腹のなかで膨らむものだ。ただでさえ満腹状態なのに、このカニ鍋はまさに殺人的だ。もう格闘どころではない。ただただ無力感が漂う中で、うまみ抜群のカニ鍋を次々とおかわりしていくだけ。

 最後はカニ鍋の残りで〆の食事、いくら雑炊。さすがに無理であるから、日野氏に「ハーフサイズ」の「哀願」。それでも2回おかわりするほどの量だった。いくら雑炊の写真はない。カメラを手にする気力すら失ってしまった。正直、この食事は3回に分けて食べたかった。次回この店に行く場合は、朝から食事抜きに空腹で行きたい。

 店主の日野氏にいろんな話を聞いてみた。この店は以前小樽駅前の繁華街にも出店していたが、数年前からそれを撤退して総本家に集約し固定・常連客を中心に運営している。メディアでの露出も一切控え、口コミや紹介だけに依存する。さらに経営方針の1つとしては、「外国人客を入れない」ことが挙げられている。「習慣が違うから、迷惑よりも、日本人客が敬遠してしまうからです」と日野氏が説明する。

 外国人客拒否というと、差別だとかそういう議論になりがちだが、私はそう思わない。一種の棲み分けであって、正誤や善悪の分別は存在しない。外国人観光客、インバウンドの全盛期だからこそ、こういう「時代錯誤」の店が存在するのも意義のあることではないだろうか。

 蛇足になるが、料金のこと。これだけ食べて酒も飲んで、1人1万5000円だった。本当にご馳走様でした。

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