少女環境活動家グレタの「We」と「You」

 16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリが国連気候行動サミットで行った「怒りのスピーチ」が注目されている。

 グレタの演説は、正義の善である「We」と非正義の悪である「You」で終始する。これは共産主義の階級闘争原理に基づく。現実の世界は、1本の線で「You」と「We」を区分することができないのだ。互いに包含し合い、転化し合っているのだ。この点には既に多くの理性的な人が気付いた。

 環境破壊の真の被害者は、動物である。地球上の人間はほぼ全員、環境破壊に由来する福利を享受している。この矛盾を無視した単純な感情的な環境破壊批判は愚かでナンセンス、時には卑怯ですらある。グレタとその背後に存在し得る利益集団を含めて……。

 私は59か国を旅してきたが、大気汚染が見られず、空気も川も一番綺麗なのは、北朝鮮だった。経済発展を止めれば、環境問題はずいぶん改善される。ただし、民主主義社会では、それを決めるのが国民である。経済発展を望んでいるのは、いわゆる民意である。18歳や20歳以上の成人有権者である。グレタももう少しで成年になる、一票の権利がある。あとは彼女自身が一切、環境汚染に由来する福祉や福利を拒否するという立場も選択肢であろう。できるのだろうか。数年後の彼女を見れば分かる。

 環境問題。正議論からいけば、工場を閉じればいい。原発を廃止すればいい、自動車だって高い税金をかけて売れなくすればいい……。いくらでも施策がある。でも、失業して路頭に迷うのは資本家ではなく労働者なのである。資本家は1000億円儲かるところで、100億しか儲からなくなったというが、900億円の損害に労働者はどれだけ被害を蒙るか、考えたことがあるのか?

 これが現実だ。

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