8名がかりの搭乗口業務、これがいわゆる「万全なサービス」か?

 羽田空港国内線搭乗口。搭乗手続は、スタッフ女性7名、男性1名の総勢8名掛りでやっている。おそらく世界一最多人数の搭乗口ではなかろうか。

 搭乗手続は果たして8人ものスタッフ動員が必要なのか。不要な業務や簡略化できる業務を一つひとつ、一見丁寧にやっているようだが、単なる無駄に過ぎない。直立不動の姿勢を取っている時間が長く、まったく非生産的だ。特にグループ1(VIPメンバー)列の先頭に立っている男性スタッフは、何もしゃべらない、何もやらない、ただただそこに突っ立っているだけ。何のためにいるのか。

 今まで見てきたなかで、最少人数スタッフの搭乗口は、デンマークのコペンハーゲン空港。たった1人のスタッフしかいない。搭乗券やスマホのQRコードタッチはすべて、乗客のセルフ作業。乗客向けの挨拶やら改札補助やら一切ない。搭乗アナウンスもない。乗客が自分で案内モニターを確認するだけ。乗り遅れたら自己責任。1人のスタッフは単なるモニター役に徹して実務をやらない。

 日本はよくいえばサービスが良い。悪く言えば客の甘ったれ。過剰サービスが消費者の自立心と力をどんどん奪っている。問題があったら他人に責任をなすり付ける。結局海外に出て、何もできない。親切そうに近寄ってくる悪い輩に次々とやられてしまう。最近、日本に帰るたび、過剰サービスに気持ちが悪くなるくらいにアレルギーを起こす。

 コストの問題を消費者があまり意識しない。過剰サービスや過剰人員投入にはすべてコストがかかっている。そのコストは消費者にだけでなく、業者側にも跳ね返る。1人の従業員でできる仕事を2人掛りでやれば、人件費が倍になり、従業員個人の収入が半減する。

 突き詰めると、余剰人員のリストラが問題となる。現場スタッフはまだしも、根源をたどっていけば、中上位管理職の低生産性問題が露呈する。ゆえに、真の生産性向上課題は、日本企業ではタブーとされてきた。まともに追及できないのだ。

 「お客様に万全なサービスを提供するために……」。あらゆる追及はこの正義論によって打ち切られる。万全なサービスと生産性は決して矛盾ではないはずだ。そうした非論理性が建設的な議論を抹殺してきた。AIやIoTが立ち遅れているのは、日本人が馬鹿だからではない。やろうと思えば、世界の先端を走る技術くらいは開発できるだろう。ただ今の日本社会はそれを必要としていない。それだけの話だ。

 いずれ搭乗口は無人化するだろう。そのときになっても、日本の空港だけは「おもてなし」のサービスを提供し続けるのだろうか。

<次回>

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