弱肉強食には善悪なし、AI時代は淘汰が人間社会を席巻

 医師もAI(人工知能)に仕事を奪われる。

 友人の医師によれば、読影は個人差が大きく、機構が公式に公表している認定医にも実はランク(これは伏せられている)がある。だから、写真を沢山読ませて、AIに経験を積ませてAランクにすれば、見落し率が下がる。これはすでに、論文によって証明されたのである。精度が上がるだけではなく、読影医の偏在に悩む地域の人々には朗報になる。それは匿名性を十分に確保した上で画像のやり取りができれば、日本国内はもとより、国際的な発展の可能性さえある。

 AIの発達によって遠隔医療が発展すれば、世界中からセカンド・オピニオンを得られる。医師側では、プロフェッショナル軍団の競争になる。診察、医療が国境を越える。新潟の田舎にいながら、翻訳AIを使って、シンガポールやロンドンにいるドクターから診察を受けられる。医師の競争になる。腕の良し悪しを患者が評価し、ポイントを与える。ポイントの積み上げが医師の実績になり、格付けになる。

 1つ1つの診察が、ブロックチェーンによって、改ざん不可なデータとなり、医師自身のプロフェッショナル・レコードになる。評価の高い医師は診察料が上がり、藪医者のところには誰も患者が来なくなる。完全な買い手(患者)市場が成立する。薬の業界も然り。薬だって競争する。よく効く薬、効かない薬。売れる薬、売れない薬。患者の使用データが蓄積され、ビッグデータをAIが分析し、特定の患者に最適な薬を選ぶ。

 AIの時代は競争の時代。弱肉強食の時代。弱肉強食はもう善悪の判断を挟む余地もなく、否応なしに弱者を淘汰していく。時代の流れである。21世紀20年代、激変する世界を前に、淘汰が無情にも人間社会を席巻する。同時に、ばら色の明日もドアを叩いてくれている。素晴らしすぎる。幸運にも、この時代にあと少し生きられること。運命の分かれ目は、AIに取って代わられるか、AIの隙間を埋めていけるか、このあたりにある。

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