昨日の海、今日の海そして明日の海

 <前回>

 ロンボク滞在の最終日、何もしない日である。携行した読み物は午前中読了したので、海の観察や散歩、昼寝でゆっくりと過ごす。

 バリ島の海もそうだが、ロンボクも同様、海の風景が美しいのだが、海そのものはあまり綺麗とはいえない。特にモルディブなどに比べると・・・。

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 海中のサンゴが死滅しているのが多いのは、ダイナマイト漁の影響だとある現地在住の方がいう。海水そのものの透明度も高くないし、島周辺には廃棄物が多く漂着しているのも観光客の所為であろう。

 バリなどがリゾートとして世界的に有名になったのは、リゾート施設やサービスの素晴らしさであって、決して海そのものではないはずだ。海はあくまでも背景的なものになってしまったのである。

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 話は少しずれるが、1989年、私がはじめてタイのプーケットを訪れたときは、まさに未開の地に近いような状態だった。90年代の猛開発で今日の地位を手中にしたのであり、この辺むしろ、バリ界隈も似たような経緯をもっている。

 観光産業という産業に組み入れられた時点で、地球上のいかなる一地点も急速な商業化が施され、やがて世俗化が進み、いずれ海や山といった素材が一背景にすぎない存在に転落する。

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 今朝ローカル紙の「ジャカルタ・ポスト」では、バリ島デンパサールのングラライ国際空港の拡張工事関連の記事が掲載されていた。建設というのは経済発展のけん引役として現代の経済社会では、概ねポジティブ的に捉えられている。何事も裏を引っ張り出して批判するのは決してマナーがいいとは言えないが、私はどうしても両面性から目線をそらすことができない。もちろん、自分も現代社会の一員として経済発展の恩恵を多く受けている身として決して堂々と批判する資格を持たないであろう。

 こんな複雑な心境で、このロンボク島に分かれを告げたいと思う。

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