疫病と大恐慌から生まれる社会の変革、そのメカニズムとは?

 新型コロナで自主隔離中。自宅引き籠りで籠城していると、お金が貯まる。出張や旅行のキャンセル返金は別として、何よりも外出や外食もなくなると、出費がどんどん減る。

 その分、大きな支障があるかというと、まったくない。気晴らしにドライブでどこかへ美味しいものでも食べに出かけようかと思っても、レストランが閉鎖されているし、州を超える外出も禁止されているから、どこにも行けない。その分食事代もガソリン代も高速代も節約できてしまう。

 気付いたことだが、普段の生活に何気なく使っていたお金はその気になれば、どんどん節約できるわけだ。一人ひとりみんなこうすれば、消費・需要が委縮し、生産・経済全体が委縮し、雇用が委縮し、失業が増える。失業が増えたり、失業するリスクに直面していれば、人間は怖くてますます倹約に走り、こうして経済委縮の循環に陥る。

 そもそも現代社会というのは、過剰なくらいに人間の欲望を煽り、不断に新たな欲望を作り出し、次から次へと消費に走らせる、こういう仕組みになっている。その代表的な指標はGDP。昨今の世界はどこの国もGDPを追いかけ、その増減で一喜一憂している。世界はおそらく限界まで来たと思う。だから、この辺でリセットが必要だ。

 人間の欲望を減らすことは、神にしかできない。その方法は、まず死という負の極限に人間を引きずり下ろし、恐怖感を抱かせることだ。生きるか死ぬかの極限までくれば、さすがに人間の期待値も大幅ダウンせざるを得ない。生き延びることだけを求め、生き残れたことに喜びを感じる。

 マズローの欲求5段階説でいえば、最低レベルの「生理的欲求」「安全欲求」あたりまで引きずり下ろすことである。さらに疫病が終息してみると、待ち構えているのは、大不況、大リストラである。地震から逃げ切ったところで今度は大津波がやってくる。一難去ってまた一難といった感じだ。

 ここまでたどり着けば、人間は人生観も価値観も変わる。それが社会の変革につながるわけだ。

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