企業経営の建築構造学蘊蓄、私は理系出身だけれど・・・

 私は仕事柄、周りから大学は法律か政治か経営出身とよく思われ(いわれ)がちだが、私は理系、建築出身だった。

 男は理系で飯を食っていけという親の意志で、十代までは反骨精神をもたなかった私は好きな文系を断念せざるを得なかった。ただ、理系の中なら自由に科目を選んでいいといわれたので、もっとも「文系に近い」建築(特に都市計画あたり)を目指した。

 いまはまったく異なる系統の仕事をやっているのだが、理系・建築学の基礎が結構役に立っていることに気付く。企業経営、戦略・政策立案、組織運営全般にあたっては、建築構造学的なエッセンスが欠かせないのだ。

 近代建築物の超高層化や大スパン構造の実現には、建築構造学が重要な役割を果たしている。同じく社会や企業といった大規模の組織運営(経営)もこれに通底する。建築学に類似する「構造」が必要だ。ただ、経営的構造はよりダイナミックな流動性に満ち、将来を見据えてその流動的状態に対応し得る可変的柔軟性と拡張性を持たせることが重要だ。

 最近の建築業界について、聞くところによると、若者の構造離れが進んでいるようだ。経営界をみても、構造的な部分に情熱を燃やす経営者がめっきり減ったように思える。

 第4次産業の発達にともない、企業そのものが短命になりつつある。だからこそ、「経営の構造学」がますます重要になってくる。

 たとえば財務といえば、固定費と変動費以外に、私は「中間費」という概念を創り出して構造的に取り組んでいるし、自分が考案した「3階建®」人事制度も名前からして建築構造学的イメージが濃いといえる……。そこで理念を共有する経営者たちとの絆を強める一方である。

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