アゾフと「孫子兵法」

 アゾフが負けた。マリウポリ製鉄所にあるアゾフの残留物のなかに、「孫子兵法」ウクライナ語版という書籍があった。彼らは、それを読んで3か月も攻防戦に徹したのか、それとも、孫子の兵法で投降したのか、定かではない。

 いずれにしても、アゾフ隊員が「孫子兵法」を学習していたことは間違いないだろう。アゾフの善悪は別として、その負け方はキーウ(キエフ)政府の公式発表とは別の意味で堂々として尊敬に値する。

 中国哲学の原点は、「道」だ。上辺のいわゆる符号的なイデオロギーでなく、理性的精神に基づき、真知を求め、悟り、省察する。といったところで、善悪の価値判断を差し挟む意味はない。

 「省察」とは「自分で自分の行為について、反省して考えること」つまり「反省的思考」である。近時の人は思考停止傾向が強く、反省的思考には程遠い。この手の話になると、「教養」として片づけてしまう。非常に残念な現実だ。

 そうしたなか、アゾフ隊員は製鉄所の地下壕にとどまりながら「孫子兵法」を勉強していたことを知り、いろいろ考えさせられた。彼たちはしっかりした信念をもってはじめて自律的に戦えたのだろう。アゾフをネオナチと名付けて批判する人も多いが、その精神的な部分は、学ばないといけない。

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