松下北京篭城事件、従業員400名が工場を包囲

 「補償が少ない」

 協議離職に不満が噴出。抗議に乗り出した400余名の松下の従業員が工場前に集結してはゲートを封鎖し、日本人管理職の外出を妨害する。(訳注:中国では、「Panasonic」ではなく、一般に「松下」と呼んでいるため、本文もそのまま「松下」と称する)

 1月27日付、「新京報」が「松下北京篭城事件」を報じた。

 松下中国は、「経済補償は法律の規定に合致し、従業員とさらに対話を続ける」と回答。

 天竺空港開発区A区に位置する松下北京公司のゲートには、「1年につき2万元補償せよ」とのスローガンが張り出されている。

 張さんは17歳のとき工場に入って、勤続10年だ。「私は、青春をすべてこの工場に費やした。要らないと言ったら要らない(酷いじゃないか)」。10日前に、会社閉鎖の情報を聞きつけたが、前日から、上司から呼び出しを受け、離職補償のことで話があったという。

 会社が提示した経済補償は、勤続年数×(個人月平均賃金+工場従業員月平均賃金)、そのうえ、11600元の補償を支払うというものだ。これは、複数のワーカーから聞いた会社の補償スキームだ。「この基準でいくと、多くて5万元の補償しかもらえない」とワーカーが不満を訴える。

 しかし、中間管理職の補償金は、一般従業員の数倍にも上る。それで、ワーカーの不満がさらに募る一方だ。彼らは、「毎年2万元×勤続年数」の補償基準を要求している。

 補償の基準に不満を示し、抗議する400名のワーカーが職場を離れ、工場前に集結する事態にまで発展した。

 メディアに対して、松下中国の責任者は、「注文の減少で、会社は離職志願者の募集に乗り出し、協議解除のスキームを提示した」と事件の経緯を説明し、補償は法律の規定に合致し、そのうえにさらに一定額の上乗せ特別補償まで加算したと正当性を強調した。

=======以上報道抄訳========

 情報が断片的で、工場の完全閉鎖なのか一部人員整理なのか、不明だ(どうやら後者のようだ)が、いずれにせよ、記事を読む限り、松下は法律を守っているように見える。

 (1) 工場閉鎖(会社解散)の場合、労働契約の法定終了となり、「労働契約法」44条(5)項、46条(6)項、47条等の適用で、基本的に勤続1年に1か月の補償が法定基準である。

 (2) 工場存続ベースでの人員整理であれば、「労働契約法」41条、46条(4)項、47条等の適用でそれも違法性が見当たらない。

 (3) しかも、「協議解除」ということで、つまり「双方合意による労働契約の解除」である。その場合、会社に脅迫や詐欺等の行為がなければ、双方の意思自治に委ねられている。条件が良くないと思えば、労働者は協議解除そのもの(会社の提案)を拒否すれば済むことだ。それだけでなく、会社が提示した経済補償、「勤続年数×(個人月平均賃金+工場従業員月平均賃金)+11600元」ははるかに法定基準を超えている。好条件にもかかわらず、なぜ集団抗議する必要があるのか。誠に不思議である。

 その「不思議」は、実は不思議ではない。松下の日本式の「常識」と中国の「常識」が激突したから、篭城事件に発展したのだ。

 この事件は、5月に予定される「最新労働紛争事例・判例学習セミナー」で、詳しく解説、分析し、紛争対策を提示する。

 乞うご期待。

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