ベトナムの「賞味期限」、日本企業は悠長に韓国に負けていく

 4年ぶりのホーチミン出張は、見る、聞く、考える、そして食べるといった行動が中心。

 まず、物価がじわじわと上がっていることに気付く。タクシーよりやや割安なGrabを利用してみると、マレーシアと変わらない運賃相場になっている。諸物価の上昇ペースは90年代末期と21世紀初頭の中国よりも早いように感じた。ベトナムはサイズが小さいだけに、中国ほどの吸収キャパが持てない。

 次に、ベトナム料理を食べに行ったら、一応高級の部類に入るお店でも、以前に比べて英語が通じなくなっていることに気付く。英語のできる現地人はホワイトカラーになり、豊かになるにつれて人が肉体労働中心のサービス業から離れることはどこの国も共通している。

 中国の今日がベトナムの明日というが、そのペースが早く、中国に30年かかったところ、ベトナムは半分の15年長くても20年とかからないだろう。ベトナムが中国に取って代わり「世界の工場」になれるのか。全体的サプライチェーンの問題もあって、状況はかなり微妙だ。

 なので、ベトナムは以前からも言ってきたように、「賞味期限」が短いだけに基本的に短期決戦型の「稼ぎ逃げ」戦略が必要。しかし、残念ながら、大方の日本・日系企業はそのモードになっておらず、悠長にやっているようにも見える。中国での教訓はベトナムで生かされていない。

 日本と対照的に、韓国勢は猛烈な勢いでベトナムで「トライ・アンド・エラー」を繰り返し、早いペースで利益を巻き上げている。

 日本企業の体質は変わらない。啓蒙教育に目覚めることはなかろう。私は50代後半、もう若くない。啓蒙にかける精力も意欲ももうない。故にベトナムでは一部の優良案件を除いて、1年後をめどに、日系企業向けの一般コンサルは止めることを決意した。

 時代は、中国・東側の世界に傾く兆候が見えてきた以上、限られた資源を中国にシフトし集中投下するほうが合理的だ。当社は零細企業で2方向並行の余力がなく、疲弊化するリスクが大きすぎる。
 
 ベトナムの一部撤退は断腸の思いだが、鉄則を破るわけにはいかない――。戦略とは、やることとやらないことを決めることであり、まずはやらないことから決めることだ。

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