アジア華人ネットワークの中枢、マレーシア中華総商会という存在

 昨晩(2022年12月19日)、クアラルンプール市内の料理店で、マレーシア中華総商会(ACCCIM)事務総長の蔡文洲(チャイ・ウォーン・チュウ)弁護士と会食。

 中華総商会は、普通の商工会議所ではない。マレーシア日本商工会(JACTIM)の会員数は日系企業616社(2022年6月末現在)だが、マレーシア中華総商会の会員数は10万を超えている。日本商工会の170個分だ。マレーシアの華人企業・財閥だけでなく、中国本土や台湾、香港、シンガポール等の中華系企業がすべて網羅されている。

 東南アジアでは、インドネシアやタイ、フィリピン、ミャンマー等の国も華人が多いが、現地化というか、同化度が高い(名前を見れば分かる)なか、華人という「ストレートな存在感」を保持しているのは、華人国家のシンガポールを除いて、マレーシアだけである。

 マレーシア国民の20%強が華人だが、彼たちのほとんどは、中国語名(発音・漢字)を使っており、独自のコミュニティを持っている。マレーシアは多民族の融合とはいえ、実はきれいに棲み分けしている。華人コミュニティも「内・外」の区別があって、華人はみんな流暢なマレー語を操るにもかかわらず、華人同士は基本的に(特に内緒話)中国語で意思疎通し、それだけ排他的とも言えなくはない。

 中華総商会はある意味で、アジア華人ネットワークのハブ・中枢と言っても過言ではない。経済だけでなく、政治もだ。そもそも経済と政治は不可分であるからだ。政治面では、国内では国王や首相、大臣、議員、政治家を網羅し、外国となれば、大使館だけでなく外国政府とのつながりも強く、蔡事務総長自身もマハティール元首相の中国訪問を共にするほどの「チャイナ・ブレーン」である。

 もちろん、情報の量も質も半端ない。蔡事務総長との会話で 普段仕入れた様々な断片的な情報、事象は一気につながり、論理的な裏付けができ、「なるほど」の連発だった。世界が向かう方向を本質的に捉えるには、上辺のメディア情報(プロパガンダ多し)や一般セミナー、シンクタンクのレポートだけでは絶対に無理だ。そう痛感した瞬間でもある。

 3時間の会食はあっという間。日本酒を2本も空け、お互いに美酒に酔いながら、また次回会うことを約束した。

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