中国には勝てない、和平交渉提案の秘密

 中国の知恵と戦略は、米国を凌駕している。

 中国は、ウクライナ戦争の和平交渉仲介役にずっと消極的だったが、ここのところ急に「12か条和平提案」を出したのは、なぜ?

 時期が来たのだ。米国以外、ウクライナもロシアも欧州も全員傷だらけで死にそうだった。米国以外、全員が停戦したがっている。中国の和平提案には、米国反対以外に、ほぼ全員賛成。米国は徐々に孤立して行く。米欧分断は中国の目的で、戦略も戦術も奏功し始めた。

 ロシアとウクライナのどちらかの最終的な勝利は、中国の利益にならない。中国の介入による停戦が実現すれば、中国は戦後秩序の制定者になり、米国の地位が劇的に低下する。もちろん中国の対台優位性も確立できる。

 和平交渉で、ロシアは少々の譲歩で現状のウクライナ占領地が微減しても、2割以上の国土占領が確定すれば、ロシア国内にプーチンの面目が立ち、中国に借りができ、習近平への恩返しとして台湾戦争に力を貸すだろう。

 欧州はウクライナ戦争をやめたくても、米国の顔色を伺って言い出せないところ、中国が代わりにやってくれた。それは感謝だ。中国にとってユーラシア大陸戦略が一歩も二歩も前進する。

 そこで米欧の亀裂が広がる。

 一番鈍いのは日本で、一番愚かなのは台湾だ。岸田氏はこの本質を理解しているかも定かではない。蔡英文氏はもう論外。日台はどんなことがあろうと、米国の飼い犬。国益に関係なく。

 中国には勝てない。

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