懐かしアルバム(2)~中国の観光地は市場に風景が飾ってるだけ

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 上海に10年以上も住んでいる私は、東方明珠に一度も登ったことがない。中国で長く住んで仕事をしていても、なかなか国内旅行に出ようと思わない。

 中国国内のビジネス出張以外、単純に旅行で行った場所は、西安、桂林、三亜、杭州と蘇州だけだった。西安と桂林は、90年代駐在中に行った。独立して中国に住んでから、まともに旅行したのは三亜だけ。杭州や蘇州はもっぱら週末の休養にたまに使っている。あっ、あとは日本からやってきた親戚を案内して、周荘を一度訪れたことがある。

47064_2龍井茶畑を眺めて、杭州に近い「富春山居」(2004年夏)

 中国は豊富な観光資源を有し、世界でも指折りの観光大国である。しかし、せっかくの観光資源をぶち壊しているのは中国の地方政府だ。

 中国の観光地は、市場(いちば)に風景が飾っているだけという感じだ。どの観光地に行っても、物売りだらけ、しかも同じような商品を押し売りする。周荘の水郷風景を静かに、ゆっくりと楽しもうと考えていると、押すな押すなの観光客軍団だけならまだしも我慢するが、土産売り子の販売攻勢には堪えられない。早足で先へ先へ行っても、行くところに店が続く。売り子だけではない。足元にはウルトラマンの電動人形がガーガーと走り回る。何で、ウルトラマンの電動人形をここで売る必要があるのか・・・

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47064b_3杭州に近い「富春山居」(2004年夏)

 「申遺(スーンイー)」と名付けて、五輪開催地争奪に負けないくらいの勢いで、中国は世界文化遺産の登録に熱を上げている。文化遺産登録の意義はちゃんと分かっているのか。文化遺産登録の第一の意義は、「責任」と「義務」である。子々孫々に、遺産を遺産のまま伝承していく。しかし、遺産登録が成功すると、まず上がるのが入場料、増えるのが観光バスの排気ガス、そして地元の予算獲得と建築ラッシュ・・・

 中国の観光地、文化遺産は喘いでいる。疲れきっている。どうかそっとしてあげてほしい。

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47064b_4絵のような美しい杭州(2005年元旦)

 最近、文化産業の振興が叫ばれている。すると、国中あちこち、オペラハウスの建設ブーム。しかし、オペラやバレエの鑑賞中に、カチカチとヒマワリの種を驚異的なスピードで一袋、二袋と潰していく輩を隣席にして、文化の意味を再考させられずにいらない。

 観光はビジネスである。何ら異存もない。だが、観光地の文化で稼ぐのか、それとも観光地をただ人集めの市場にして稼ぐのか、これは中国が考えなくてはならないことだ。文化は大きなお金を生み出す資源だが、残念なことに中国はそれをまだあまり知らないようだ。

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