ハノイの蛇料理(1)~私のヘビ食物語、食べるなら丸々一匹

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 蛇が旨い、蛇料理が食べたい。と言ったら奇人変人と思われるかもしれないが、昔は日本でも蛇が食卓にのぼっていたのに、今ではすっかり姿を消してしまった。蛇というと、「気持ち悪い」「怖い」と言う人がいても、食材しかもグルメ評論の対象として語られることはまずない。

「これでいかがですか」

 何を隠そう、私は大の蛇好きだ。ハノイでは、蛇料理が食べたくてベトナム人の友人を誘った。ハノイ郊外の毒蛇専門店(蛇村)へ足を運ぶのに時間が足りず、市内のジビエ専門店「Nhà hàng Thành Long」に予約を入れた。ロッテホテルから南へわずか500mほどの距離、大通り沿いに小さな店があった。
 

ジビエ専門店「Nhà hàng Thành Long」

 ジビエ専門店で、蛇以外にも食材が豊富に揃っている。生きた蛇を見せられ、OKなら重量を計って調理に入る。待っている間にとりあえずヤギ料理でもいただこうと注文。肉が柔らかくて旨い。持込みのベトナム米酒を飲みながら、ヤギ肉をつまんでいると、早くも酔いが回ってくる。

まずはヤギ料理

 私が初めて蛇を食べたのは、約30年前の海南島だった。当時は高速道路がなく、三亜から海口までは一般道路を1日かけて走破する。山を越えていると、地元の子供が獲った蛇をくねくねと踊らせながら売りつけてくる。車の運転手は夕食のおかずに買って帰るからと車を止めて蛇選びを始める。

店主と

 面白い。蛇に惹かれて、私は運転手に「ランチは蛇が食べたい」と言い出し、山の中の蛇食堂に連れていかれる。せっかくだから、少々値が張る毒蛇を注文。大きな毒蛇で血酒、内臓料理、肉の炒めと唐揚げ、さらに濃厚な蛇スープとフルコースを満喫。それ以来、蛇大好きになった。

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