日本人よ、マハティールを神聖化するな

 日本のメディアは報じないが、いよいよ、マレーシア元首相のマハティール氏身辺が怪しくなってきた。一族の汚職疑惑が浮上している。

 マレーシアのデイン前財務相の妻であるナイマは1月23日に、法律に従って資産を申告しなかった疑いで起訴された。マレーシア汚職防止委員会(MACC)は2009年反汚職法を発動し、ナイマを起訴した。同委員会がデイン氏に関する調査を開始して以来、その家族が起訴されるのはこれが初めてである。

 85歳のデイン氏はマハティール氏と親密な関係にあり、マハティール氏の最初の首相任期中に2度財務大臣を務めた。そこから、マハティール氏の長男ミルザム氏は、1月17日にMACCから事情聴取に呼び出され、30日以内に国内外の全資産を申告するように求められた。

 「マレー人はこのままでは華人に飲み込まれ、マレーシアという国家の存立が危うくなる」と、マハティール氏はここのところ、人種差別を煽る過激な発言を繰り返しているのも、国民の目をそらすためだと言われている。マレー系を含めて、マハティール氏に向けられる国民の目線は一層厳しさを増している。

 日本人は、マハティール氏に対して「親日」という固定観念を持っており、氏を単純に「善」の部類に分類している。しかし世の中は善悪という二元論で片づけられるものではない。二元論は非常に幼稚で、無思考的だ。ここでマハティール氏の一族に断罪するわけではないが、氏の直近の人種論はいささか言い過ぎたように思える。

 状況はこれから徐々に見えてくるだろうが、言いたいのは、いくらマハティール氏だからといって、神聖化するべきではないということだ。

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