チェコ紀行(12)~コンサートでGDP、音楽観光産業のパワー

<前回>

 プラハ市内の様々な場所で毎日、多数の大小コンサート、オペラ、バレエが催されている。コンサートは市民の日常生活の一部分であって、観光産業の一部分でもある。10月8日と9日両日のコンサート・プログラムを見ると、いわゆる誰でも一度は聞き覚えのあるクラシック名曲ばかり、特にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」や、スメタナの交響詩「わが祖国」など、代表的なチェコものがほとんど網羅されている。明らかに観光客向けのプログラムだ。

65985_2
65985b_2プラハの街に溢れる音楽

 プラハ城だけでも、複数のコンサート会場が設けられている。コンサート会場といっても、ホールばかりではない。教会も活用されている。特に私が足を運んだ聖イジー教会は、石造りで天井が高いだけに、四重奏や五重奏でも錚々たるオーケストラのように聞こえてしまうほど、音響効果が抜群である。また、「アヴェ・マリア」などは、教会特有の荘厳な響きを生かすことを意識しての選曲だろう。

65985_3
65985b_3プラハの街、いたるところにコンサートのBox Office

 音楽産業と観光産業がこのようにチェコのGDPに多大な貢献をしていることは言うまでもない。その一方、資源の消耗や環境破壊には無縁である。中国のように巨大なオペラハウスやコンサートホールを作ることもない。文化産業といえばハコモノ作りしか頭にない中国にとって、チェコに学ぶものは一つや二つではないはずだ。

<次回>

タグ: