チェコ紀行(13)~チェコの石畳み小径と中国の高速道路

<前回>

 石畳みの道路を歩くのが、チェコ旅行の楽しみの一つだ。チェスキー・クルムロフはほとんどすべての道路、プラハの市街地でも目抜き通りを除いてほかの道路はほぼ石畳みになっている。

66033_2チェスキー・クルムロフの石畳み小径

 石畳みの道を歩いていると、足はほど良い刺激を受けながら、脳の動きも活発になり、いろいろと考える――。この石畳みの道路は、いつ造られたのだろうか。つるつるになっている石を見ると、これはゆうに数十年、半世紀、あるいは1世紀、いや、もしかすると数世紀の歳月が経っているかもしれない。こう思えてならない。

 アスファルトと違って、石畳みの道路は、頑丈でなかなか壊れない。デメリットもある――。車はスピードを出せない。いや、そのほうが安全かもしれない。昔は馬車だったし、車が発明された当時スピードがあまり出ず、石畳みの道路でも特に不都合はなかっただろう。

 キャスター付きのスーツケースを引きずっていると、石畳みの道路が最悪だ。でも、昔のスーツケースにはキャスターなどが付いていなかった・・・

66033_3プラハ旧市街地の石畳み

 石畳みには致命傷がある――。なかなか壊れず商売にならないので、道路工事業者泣かせである。道路工事の需要が少なくなると、役人泣かせになる。さらに、GDPへの貢献も減り、経済成長の減速につながる。

 中国を見てごらん。道路や橋梁の損壊・崩落事件がしばしば発生している。全長235キロ、建設費87億元の甘粛省「天水― 定西」高速道路は、完成からわずか半年後に一部区間で陥没、亀裂などが起き、大規模な修復工事を必要とした(2011年9月、中国メディア報道)。道路や橋梁の場合、建設工事は1回目のGDP計上、問題区間の撤去工事は2回目のGDP計上、そして再度の修復工事はなんと3回目のGDP計上になる。建設も破壊もGDPに寄与している。破壊に基づく建設は特に大きく貢献しているのである。

 チェコの石畳み小径と中国の高速道路。あなたはどっちがお好き?

<終わり>

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