モロカイ島を案内してくれたのは、島在住の日本人アーティスト、山崎美弥子さん(略歴は文末付記)。
朝、ホテルまで迎えに来てくれると、すぐにフロント係に断ってホテルの庭でティーリーフの採取が始まる。レイを作るためだ。
レイは、魔除や供物として用いられ、その文化は古来ポリネシア人たちによって伝来していた。今回作るティーリーフのレイは日本の門松のような、魔除けの意味があってお守りとしての存在だ。また、日本人にお馴染みのフラとも重要な関係があり、フラダンサーのスカートにもティーリーフが使われている。
美弥子さん曰く、「レイの材料はこだわりません。貝殻や草花、身の回りにあるものなら何でもいい。気持ちです。感謝の気持ちや愛情を込めて、自分だけのレイを作って人にプレゼントするのです。相手の首を包み込むように、レイをかけてあげるのが愛情表現です」
なるほど納得。レイを贈る時に、このような気持ちを総括してハワイ語で「アロハ」と、人間の絆を強めていくのが、ハワイ流のマナーだ。
<山崎美弥子さんの略歴>
アーティスト。1969年、東京生まれ。多摩美術大学絵画科卒業。90年代後半東京のシーンを盛り上げたファッションイラストレーションで活躍したのち、観客と共に大きな水色のケーキを作る「海と空の結婚パーティー」などのアートプロジェクトの他、 絵画、写真、映像、インスタレーションの作品を国内外のアートギャラリーや美術館で発表する。映像作品はL.Aのレスフェスト・デジタル・フィルム・フェスティバルに入選。一変し、2004年より船上生活を始め、現在はハワイのモロカイ島に心理学者の夫と、ふたりの娘と暮らしている。 著書「モロカイ島の贈り物」(山崎美弥子著 産業編集センター刊)