敵から学ぶ、悪からも学ぶ

 山口周氏の記事『正しい努力、してますか?』。漫才の世界でどのようにして生き残るか。島田紳助さんは、たくさん観た漫才を、すべて文字に書き起こした上で「面白さの構造」を分析していくのだ。経営学の世界ではこれを「リバースエンジニアリングによる競合ベンチマーキング」と言う。

 重要なポイントはここ。要するに、「敵・競合相手はなぜ強いのか、その構造を明らかにする」ことだ。例えば、中国はなぜ強いのか。日本人はすぐ「技術を盗んだ」とか「独裁」とかで単純化し、倫理価値判断で中国を「悪」の部類にし、批判する。中国から学ぼうとしない。敵を知り、敵から学ばない者は、敵に勝てるはずがない。日本人の幼稚性がここに現れている。

 しかし、中国人は常に敵から学んでいる。敵が当然悪だろうが、悪から学ぶことは善の勝利のためだと、彼らはそう思っている。中国人が今でも、西側の得意分野を謙虚に学んでいる。五輪で嫌がらせ的なドーピング検査や西洋人選手の無礼な態度に遭遇しても、抗議しない。ただただ密かに敵の強さの構造を学んでいる。

 臥薪嘗胆。2028年ロサンゼルス五輪で、金メダル数で米国を超えること、彼らが狙っている。米国人が本物の屈辱を味わうのは、まだまだこれからだ。

 悪から学ぶのは、悪になるためでなく、悪に勝つためだ。

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