タイピンには、トーヨータイヤの不思議な大工場がある

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 タイピンに1泊するのは、桃源郷的な風景を楽しむだけではない。この小さな田舎町には、日系企業であるトーヨータイヤの工場がある。しかも、かなり規模の大きな工場で1700人もの従業員が働いている。この工場は不思議なことがたくさんあって、どうしても話を聞いてみたかったので、取材を申し込んだ。

中=杜氏、左=黄氏

 日系企業と言っても、社長の杜保強(Mike Toh)氏と副総支配人の黄志祥(Ng Chee Seong)氏はともにマレーシア華人。つまり日本の資本だけで現地人が運営している大工場なのだ。互いのスケジュールの都合上、昼の工場訪問でなく、夕食も兼ねての会食取材になった。盃を交わしながら、あっという間の3時間。ワイン2本にウィスキー1本。良かったことに酔う前に取材手帳にしっかりメモを取っておいた。

 マレーシアの工場と言えば、外国人労働者抜きには語れない。工場や建設現場などいわゆる3K職場は、マレーシア人に人気がない。求人募集しても人が集まらないし、たとえ仕事についても数日や数週間ですぐやめてしまう。しかし、トーヨータイヤのタイピン工場は、マレーシア国内最大のタイヤ製造会社として、なんと外国人労働者ゼロの工場である。

 地元を離れたくない人がいるかもしれないが、1700人の従業員は経営陣を含めて全員地元の人というのはなかなか難しい。さらに離職率も欠勤率も低く、業績が素晴らしい。となると、やはり何か特別な仕組みがあるのではないかと考えざるを得ない。それは何だろうか。

 このたびの取材を終えたところで、何となく少し見えてきたような気がする。詳細はまた後日レポートにまとめたい。

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