飛行機の遅延問題、問題になっていない問題

 8月20日、アフリカから上海に戻り、溜め込んだ仕事の半分程度を片付けて、週末と週明けは立て続けに出張。

 8月23日(木)~24日(金)、1泊2日の山東省・威海出張。顧客M社グループ幹部合宿研修会の講師を引き受け、評価制度の1日講座。

86435_2威海空港
86435b_2宿泊先の威海文登倪氏海泰大酒店

 私の講演会・研修会は基本的に、公開タイプと社内タイプの二種類。公開タイプとしてはいっぺんに数十社集めて、当社にとって効率が抜群によいのだが、参加企業によって公開の場で聞きづらい質問があったりすることもしばしばある。

 そこで社内研修であれば、完全クローズド環境で他社参加者のことを気にせずに質問したり、自社内の事例を取り上げてケーススターディしたりすることができ、都合がよい・・・

 続いて週明けの8月27日(月)は、北京の日帰り出張。中国の空の状況は相変わらず改善していない。威海出張の便も北京行きも遅延。空中の問題だけでなく、地上も問題多し。出発待ちの北京便の東方航空機内は蒸し風呂のように暑い。スポット駐機中のエアコンは機体エンジンでなく、機外の電源車によって電力を供給されているので、その電力がどうも弱いと、客室乗務員が説明している。

 「離陸すれば、すぐ涼しくなりますよ」。そんなことをいわれても、問題は離陸までどのくらい時間がかかるかだ。エアバスA320やボーイングB737などの小型機なら、座席上部に送風口が設けられているのだが、北京線の主力機であるA330のような大型機だと、逆にそれがついていないので、手動で涼を作らなければならない。

86435_3機内は蒸し風呂の如く

 帰りの北京~上海便も遅延。「あなたが搭乗する東方航空○○○○便の前に、離陸待ちの飛行機は56機あります・・・」。57番目の離陸ではあと何時間かかるのか。最近、携帯電話向けのフライトトラック・サービスが導入されていると、搭乗便の機体の飛来状況、着陸時間、出発予定時間、離陸待ち状況、目的地到着時間などの動きがほぼ正確に把握できるようになった。

86435_4「あなたの搭乗機は57番目の離陸です」

 「今日はなぜ遅れなかったの?」、最近遅延の原因よりも、定刻出発が珍しいので、定刻出発のとき、私はいつも好奇心で客室乗務員に聞く。

 「お客様の運がよかったですね」。こんな答えが返ってくると、もはや返す言葉はない。私と客室乗務員の会話が聞かれたのか、後ろの座席にこんな問答が聞こえてきた。

 「中国のこの飛行機遅延問題は、もう限界ですよ。中央(政府)とか上層部のトップが圧力をかけない限り、解決できそうにないんですね」
「いや、中央上層部の連中が乗る飛行機は絶対に遅延しませんから、遅延問題は知らないんじゃないですか」

 なるほど、問題解決のキーパーソンにとって問題になっていない問題は、一番大きな問題ですね。