自宅のプールが完成してから、すでに2年余りが経過した。本日は、そのメンテナンスに関連して、プールのメーカーとメンテナンス会社が「共同来訪」した。通常であれば、挨拶と点検を終えればすぐにお引き取り願うところだが、妻がコーヒーを振る舞ったこともあり、場が和み、思わぬ展開となった。

話題はやがて、プールメーカーのビジネス状況、さらにプール業界の市場動向にまで及んだ。私は職業柄、どのような分野であれ企業経営に関心を持っている。目の前に「生の経営者」がいる以上、単なる日常会話で済ませることはできない。むしろそこにこそ、実務に根差した知見や事例学習の宝が眠っていると考える。
まず最初に浮かび上がったのは、プール会社の経営課題である。たとえば施工後のアフターサービス体制、部品の安定供給、スタッフの定着率、市場の変動に伴う収益の波など、決して楽観視できる業種ではない。しかし、彼らはそうした課題に一つひとつ向き合いながら、着実に成長を遂げてきた。特に新築市場の高まりと、都市郊外における戸建て需要の上昇が、プール設置需要を下支えしているという。
さらに話題は、「プール販売市場」の拡大へと進んだ。驚いたことに、マレーシアではプール市場が急成長しているという。特に近年は富裕層の増加に伴い、戸建て住宅へのプール設置が一つのステータス・シンボルと化しつつある。また、外国人居住者や国内移住者の郊外志向が相まって、個人宅でのプール需要が顕著に伸びているとのことだ。
さらに注目すべきは、隣国ブルネイの市場である。経済的には豊かであるにもかかわらず、現地にはプールメーカーがほとんど存在せず、供給の空白が続いているという。すでにブルネイからの受注は増え始めており、「最寄りのマレーシアからの輸出・施工」という構図が生まれつつある。この隠れたニッチ市場には、確実な商機が存在している。
つまり、自宅のプールという「私事」の延長線上に、社会のトレンドやビジネスの可能性が広がっていたのである。個人の暮らしの中にこそ、市場の動脈が脈打っている。何気ない訪問にこそ、未来のビジネスの萌芽が潜んでいるということを、改めて思い知らされた一日であった。




