水野氏との議論その二~順法コスト・取引コストに注目

 中国からの撤退。それは簡単ではないことがあっても、撤退そのものができないことはない。水野氏のおっしゃるとおりだ、撤退は必ずできる。ただ、清算、撤退は一般的に大変コストがかかるのだと申し上げたい。

 解雇と同じ原理だ。中国の雇用では解雇できないことはない。無固定期間契約でも法定要件を満たせば解雇できる。ただ実務レベルでどれだけ大変なことか、どれだけコストがかかることか、やってみたらわかる。そのコストは経済補償とかの直接コストだけではなく、解雇事由を立証するための間接コストのほうが底なしで、予測すらできない。

 中国の場合、法と実務のかい離をつねに意識しないといけないのである。中国は一通り法整備がされている。欠けている法律は、「動物愛護法」くらいだ。ただ、法の解釈と運用に大きな任意性と流動性があって、順法コストが違法コストを大きく上回ることが日常茶飯事である。

 弁護士や専門家が単に法に照らし、愚直な順法の助言をするだけでは、体力のない中小企業が順法コストに潰されてしまう、こういうこともあるのである。襟を正して臨むというのはもっともの正論ではある。しかし、企業がコスト倒れで存続できなくなれば、何も語れなくなるのではないか。決して違法しろというわけではない。順法範囲内のベスト選択肢、ベター選択肢とは何か、それを常にすべての知恵を絞り考えるべきであろう。

 話を戻すが、法律を守るには、コストがかかる。これは一種の取引コストともいえるのであって、管理会計の原理をもって企業内部では、この種の潜在的コストをしっかりと評価しなければならない。

 中国では、物価が上がっている。原材料コストが上がっている。人件費コストが上がっている。といわれているが、そこで、決して見落としてはならないのは、「取引コスト」である。

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