「富裕国の仮説」、ブルネイ王国視察に向けての課題設定

 ゴールデンウィークは、ブルネイ王国視察が決まった。

 当初は、ヨルダンとイスラエル行きの予定だったが、ISなどテロ関連の問題で中東地域は安全上の考慮で中止にした。イスラム系地域を見たいことで、選択肢として絞り込まれたのはブルネイであった。

(写真:ハラル・ジャパン協会ウェブサイト)(写真:ハラル・ジャパン協会ウェブサイト)

 ブルネイは、私の人生旅先の50か国目になる。また、これでAsean全加盟国制覇にもなる。まあ、これはどうでもいいが、さて旅のテーマは何かというと、「富裕国の仮説」である。

 ブルネイ王国は、周知の通り世界でも有数の富裕国である。

 妙なことに、世の中の富裕国は概ね二種類に分類できる。極端に天然資源の豊富な国と極端に天然資源の貧弱な国である。

 前者は、ブルネイもそうであるように、中東湾岸・アラブ諸国ないしノルウェー(北海油田)のような、豊富な原油と天然ガスといった天然資源を有している国々である。

 後者は、シンガポールやスイス、ルクセンブルクのような、ほとんど天然資源を有しておらず、独自の産業育成を中核とする国家戦略の成功によって富を手に入れた資源貧弱国(多くは都市国家かそれに近い小国)である。

 同じ金持ちでも、金儲けの源泉や手法がまったく異なる。さて、一つの仮説を立てよう。資源貧弱国にはある日天から資源がどさっと降ってきた場合、と、資源国にはある日天然資源がなくなった場合、それぞれどうなるかという仮説である。

 前者の仮説は、実現する可能性はほぼゼロであろうが、後者の仮説は、はたしてあり得ないものだろうか。地球上の天然資源は確実に減っていき、枯渇危機も語られるなか、次世代や次々世代以降の国家戦略のあるべき姿とは何か。

 これが、「富裕国の仮説」である。ブルネイはもし天然資源がなくなったとき、どんな国になろう。短い3日間の視察で考えてみたいと思う。