政治家と政治屋、失業当たり前日本一過酷な雇用環境

 「党が割れるようなことは絶対にないと約束してもらいたい」――。維新の松野新代表が就任するやいきなり全員に呼びかける。

 「会社が絶対にバラバラにならないように約束してくれ」。新任社長が全社員にこう訓話したら、どうなるのだろうか。それはあなたの仕事じゃないか。組織をバラバラにならないようにまとめていくのがトップの仕事じゃないか。

 党が割れるか割れないかで頭がいっぱい。国民のための政策提案など考える余裕があるのか。党や組織のために政治をやるのなら、それは政治家ではない。政治屋だ。

 国家や国民の利益を考えて党を割ったほうがいいというときに、よっしゃー、こうなったらこんな組織を潰してしまえといえるような政治家はどのくらいいるのだろうか。

 いや、非難よりも同情だ。日本の政治家(一応「家」とつけておこう)は、企業の正社員よりはるかに身分が不安定だ。数年に一回は必ず失業(任期満了や解散)し、再就職活動(選挙)には数百万や数千万円の資金が必要だ。おまけに求人倍率が低い。不採用(落選)なら投資はすべて無駄になる。

 だから、ある程度の資産家やスポンサーでもついているような有力者以外、政治家というものは政策よりも、まず自分や家族の糧を確保するのが先決になる。政治家だって生活がかかっているのだ。

 そういう意味で日本では、失業が当たり前、就職や雇用環境がもっとも過酷なのは政治家なのかもしれない。

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