異端児とビッグバン、稀代の大物か風車に突っ込むドン・キホーテか

 大阪都構想の否決。橋下氏の敗因を事後分析するメディア、個人・・・。ネットの世界では誰もが立派な評論家になる。ああすべきではない、こうすべきだ、投げ出すな、捲土重来だ・・・。

 多様な観点の表明は大変良いことだ。ただ敗因というのは、一つや二つだけではない。全面的な敗因分析ならロジックツリーでも作っての大作業になる。丁寧にやったら数百ページや数千ページの分厚いレポートになる。

 敗因分析というのは、次の不敗や勝利につなげていこうという意志の表明でもある。だが、橋下氏本人が政治家を辞めると言っているのだから、その敗因の学習と止揚、そして高次への昇華、一連行為の後継(継承)主体が誰になるか、という問題が浮上する。

 「橋下喪失」で維新が動揺している。涙の慰留を見ていると、やはり維新は橋下氏がいての維新だと痛感する。いや、正確にいえば「橋下党」だった。橋下氏という異端児の存在は絶大だった。

 日本という国は、異端児に決してやさしい国ではない。橋下氏は稀代の政治家か、風車に突っ込むドン・キホーテかいろんな評があっても、異端児であることには異論がなかろう。そういう意味で異端児で成立していた組織から異端児が消えることは、その組織には死刑宣告同然だ、という認識があってもおかしくない。ほかに取って代われる異端児がいれば、話は別だが。

 だが、橋下氏のような異端児政治家は日本にはそういない。いるとすれば、安倍首相だ。しかし、このままいけば、改憲が大阪都構想よりも惨めな結果になるかもしれない。そうなるだろう。橋下氏の今日が安倍首相の明日、私にはそう見えてしまう。異端児がまだ潰される時代である。ただ今回の大阪投票は、異端児潰れる時代の進行状態を測るバロメーターには確実になった。

 異端児が日本で普遍的承認を得、ないし公認の優良児に成り上がるには、ある種のビッグバンが必要だ。ビッグバンによって異端を疎外・排除してきた主流が抜本的に否定される、そうした出来事が必要だ。そのビッグバンとは何、いつ、どう起こるか、誰もがはっきり分からない。でも、いずれ起こるだろう。ぬるま湯のまま加温していけば必ず蛙が死んでいく。

 ここで橋下氏が一旦引くのが大変賢明な決断だ。しかも、中途半端ではない。公人から私人に徹底的に切り替える。ポスト安倍は早すぎるにしても、次の次、もうちょっと先になるかもしれないが、ビッグバンをただひたすら待つ、それだけでいい。橋下氏はまだ若い。

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