犯罪や自然災害、リスクの善悪よりもリスクとの付き合い方

 今年後半、賃貸契約の満期で引っ越しも考えているので、今日は下見も兼ねてある住宅地を回って見ることにした。

 私がいま住んでいるクアラルンプール郊外の某住宅地は、前にも書いたようにここのところ、空き巣狙いの住宅侵入窃盗犯罪が増えている。完全な空き巣であれば、金品の損害だけにとどまるが、窃盗中に帰宅して、窃盗未遂から殺傷などへの犯罪形態の変換が怖い。

 マレーシアは日本人の移住先として相変わらず人気ナンバーワン。それは総論得点であっても、各論について吟味する必要があるだろう。

 地震もその一つ。マレーシアやシンガポールは、地震のほとんどない国として知られているが、先日のサバ地震でかなり現地でもショックが大きかったようだ。

 2日前のマレーシア中文経済紙「南洋商報」がトップで、建築の耐震問題を取り上げた。現状では、マレーシアのインフラ建設は基本的に地震災害を想定していない。クアラルンプールのあの有名なペトロナス・ツインタワーも一部しか耐震機能が備わっていない。一般のコンドミニアムなどの民間住宅となると、ほとんど耐震機能がない。シンガポールも同じだという。

 マレーシアの国土は、地震活断層の影響を受けにくい地域に位置しているが、環太平洋火山帯プレートの移動によってここ数年国内に地震の頻度が増加傾向にあるという。すぐにマレー半島に大きな地震があるとは考えにくいが、将来的懸念が一つ増えたことは事実である。特に住宅の耐震機能を付加すると、建設コストが20%増となる。政府は安全基準の向上には消極的だ。

 マレーシアだけでなく、世の中、どこもリスクが増大している。だから、リスクそのものの善悪ではなく、リスクとの付き合い方を考えないとダメ。

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