いけいけドンドン型と高不況耐性型、中国ビジネスの行方

 中国経済の衰退は明らかだ。中国の成長率は正味どのくらいだろうか。先週上海出張中に製造やサービス、金融等異なる業界の複数の駐在員経営者、アナリストに聞いてみた――。5%や3%、回答はまちまちだが、いずれも公式発表の7%を下回る。なかにこのままいけば実質上のマイナス成長もあり得るという方もいた。

 私自身は以前も書いたことがあるが、基本的に公式発表の半分で考えている。3%~4%あたりかな。専門調査会社ファゾムは「実際の成長率とみなす数値」として、今年の中国成長率は2.8%、来年2016年はわずか1.0%にとどまるとの予想を発表している(8月7日付のロイター記事「中国経済成長率、実際は公式統計の半分以下か 英調査会社が試算」)。

 この辺の話を書くと、かならず反論がやってくる。いや、実感では中国の景気はまだ悪くない。具体的な何とか商売が繁盛しているとかそういった事例も上がったりする。世の中実感なき景気回復も景気後退も存在する。立ち位置や視線、角度、フォーカスするポイントによって異なる景色が見えてくるだろう。そもそも、この辺の議論は事後検証でしか正誤が判明されない。だから、私はその類の議論にはあまり興味がない。

 職業柄も関係している。専門の経済学者と違って、経営コンサルタントの仕事は経済の分析や予測そのものよりも、最悪事態の回避、リスクの最小化、そして継続的事業の遂行の可能性といった、いずれも「もし、最悪の事態が発生した場合」を前提とする議論なのだ。

 どこの国も同じ。どんなに景気が悪くても、必ず生き残り、繁盛する商売が存在する。景気に便乗するいけいけドンドンの商売もあれば、地味でも不況耐性の高いビジネスもある。中国も然り。

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コメント: いけいけドンドン型と高不況耐性型、中国ビジネスの行方

  1. 本日のニュースで、下記のような指摘もありました。

    この記事で述べられていることは、実際に中国の都市外に住んでいる人の感覚に近いものがあると思います。都市化の基準などは、日本と比較するとハードルが低いのじゃないかとすら思いますね(つまり、まだまだ景気浮揚策が打てる状態で、現状は都市化率40%とか30%と言われても、そのぐらいかなと思いそうです)。
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    中国の株式市場は、当時の日本と比べると対GDP比での規模が大幅に小さい(40%対140%)。そのため株価急落が経済全体に与える影響も小さいとみられる。また、中国は都市化率が55%にすぎず、1人当たりGDPでは今も中所得国であるため、景気を支援するためのインフラ支出の余地も大きく残されている。
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    http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e6%a0%aa%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%82%af%e3%81%a8%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e3%83%90%e3%83%96%e3%83%ab%e5%b4%a9%e5%a3%8a/ar-AAdM81a?ocid=spartandhp#page=2

  2. 中国経済が衰退しています。米国も日本も長い間衰退の道にあるし、現在もそうでしょう。そういう意味では全く正しいと思います。英国もヨーロッパも、ロシアさえ衰退中です。

    中国経済は、衰退はしていますが、成熟はしていない。製造業は労働集約型産業の域を抜け出せないまま衰退期に入ってしまい、今後の困難が予想されますが、国内市場の大きさが助けになるかもしれません。

    製造業は外国企業との競争ということを考えると、労働集約型産業から脱出できなかったことは致命的かもしれません。
    しかし、金豚年(2007年)に生まれた大勢の子供たちは今年13歳。これからますますお金がかかる世代になります。消費の拡大が中国製造業を支えてくれる可能性もあります。

    サービス業もまた成熟期に入る前に経済の衰退期を迎えてしまったわけですが、こちらは先進国のノウハウそのものが全国的には行きわたっておらず、外国企業と一部の国内チェーン店に留まっています。従って、まだまだ成長のための余白がある状態と言えるでしょう。

    教育業も伸びしろがかなりありますね。大学は飽和状態かもしれませんが、幼少教育、塾などは都市郊外やローカルなどでは現在もタケノコのような勢いでの伸びが続いているのではないでしょうか。

    マクロの衰退が個別の産業にどの程度の影響を与えていくのか、個別の産業の発展がどの程度まで衰退を緩めてくれるのか。先行き不透明ではありますね。

    1.  コメントありがとうございます。ただ本稿の論旨は既述のとおり、経済や具体論的な個別産業の予測ではないのでこれ以上展開しません。ご了承ください。

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