「立花聡の美食」カテゴリーアーカイブ

<ホーチミン>Quan Bui、素朴な家庭料理と米酒が最高

 ホーチミン出張滞在中の楽しみといえば、食。たまに高級ベトナム料理もいいが、食傷気味になりがちで、私は断然素朴な家庭料理や郷土料理を好む。

 今回は、セミナーのあと、「Quan Bui(クアンブイ)」というベトナム家庭料理店へ足を運ぶ。

 店の周りは、日本人街で夜の女性が行き来する場所なのだが、店内はいたって素朴な雰囲気で、地味なカフェというか居酒屋という感じである。私の好みだ。自家製のベトナム米酒が旨い。田ウナギの鍋が珍しいので注文してみた。これは絶品。酒に合う。

 かなり酔っ払った。
 

ボナペティのベトナム航空機内食、ホーチミンへ

 9月7日(木)、移動日。午後15時10分上海浦東発のベトナム航空VN523便でホーチミンへ向かう。

 ベトナム航空のこと、何回か言及したが、なぜか機内食の旨い確率が高い。本日も牛ヒレ肉のステーキは、見事なミディアムレア状態になっていてしかも、柔らかいのだ。上等なレストランと変わらない品質で思わず感動。

 しかも、サーブする客室乗務員は微笑みで、「ボナペティ」の一言。植民統治の賛美ではないが、フランスが残してくれた面影が消えることなく脈々と伝承されていることは、誠に微笑ましい。

 18時10分、ホーチミン・タンソンニャット国際空港到着。19時過ぎ、ホテル日航サイゴンにチェックイン。明日はホテルでセミナー。

北欧帰りの郷愁晴らし、「炭家」で焼鳥三昧

 北欧からクアラルンプールに戻って、郷愁晴らしにまっすぐ駆け込んだのは、焼鳥店「炭家」(Sumika)。とにかく無性にこの味にありつきたいという一念。

 やっぱり、私はアジアから離れられない宿命だ。欧米にも数多くの美味はあるものの、身体の本能的な渇望はまったく異質なものだ。抗えない。

 久しぶりに「炭家」のマスターのお顔を拝見したくても、背中姿か正面でも煙に覆われてよく見えないのだ。相変わらず忙しい。いや忙しいどころではない。彼は1人の人間として労働生産性の極限に挑んでいるのだ。

 この味よ、この味。私が渇望していたのは。涙が出るほどの感動。酒が進む。1杯1杯また1杯。

 個人的な感想だが、焼鳥に関してクアラルンプールでは、一番美味しい店は「炭家」しかあり得ない。味だけでなく、経営者の経営方針や姿勢にも共感を覚えるところが多々ある。

 ラム肉もあったので、北欧帰りの余韻で頼んでみた。これはニュージーランド産だが、北欧と変わらないほど旨い。取り扱いも上手で焼き加減もちょうど良い。申し分ない。

 本当に大満足。長旅の疲れはこれですべて消えた。ご馳走様でした。

グリーンランド(5)~青天の霹靂、北極圏にも中国人爆旅

<前回>

 私の場合、食べることが好きで、旅に出る前に事前調査で食べたい食材や料理をリストアップするようにしている。今回、北極圏のグリーンランドでの食リストに上がっている食材品目は、以下の通りである――。

 ズワイガニ、ジャコウウシ、オヒョウ、トナカイ、北極野ウサギ、ライチョウ、オオカミウオ(狼魚)、ウニ、レッドフィッシュと並んでいる。

 その多くが食べられなかった主因は、宿泊ホテルであるアークティック(Hotel Arctic)のレストランにあった。ホテル・アークティックのメインダイニング「Restaurant Ulo」のレギュラーメニューを事前確認したところ、以上の食材のほとんどが扱われていることで、安心していた。

 しかし、チェックインすると、悪いニュースを知らされた。――滞在中の2泊は、「Restaurant Ulo」は中国人団体ツアー客による貸切のため、一般営業を中止すると。

ホテル・アークティックの客室から氷河がみえる

 青天の霹靂。予約満席なら時間帯をずらすとか、なんとか哀願して入れてもらえる手立てがあったかもしれないが、貸し切りだと如何しようもない。ルームサービスやカフェで注文を取り寄せることも打診したが、ダメだった。両日ともレストランの厨房は貸切ブッフェしか用意できない。

ホテル・アークティックからの展望

 運がよほど悪かった。と思ったら、そうではないようだ。イルリサットの街で一番のホテル、アークティックは、もう中国人団体ツアー客に乗っ取られたことは、現地で誰もが知っている事実だった。そこまで事前調査ができていなかった私自身の責任だ。

 ホテルの入口に掲示されている総支配人の挨拶文をみてもわかる。英語と中国語がメイン言語として真ん中に併載されている。両側に欧州各国語があっても、日本語はない。

 爆買の次は爆旅。その爆旅先ももはやパリやロンドンにとどまらず、北極圏、地の果てまで浸透してきているのだ。ホテルとしては、金を落としてくれる中国人客を優先させる方針も、非難されるべきではない。商業的観点からすれば、むしろ正しい経営判断なのだと私も思う。

 嗚呼。私の美食夢が無残に打ち破られた。夕食の時間帯、ホテルのメインダイニングは、中国人専用となり、他の客は小さなカフェに追いやられ、限られたメニューから選ばざるを得なかった。

 まあ、食べられるだけでも幸運だったのかな・・・。

<次回>

グリーンランド(4)~ズワイガニやオヒョウ、北極美食三昧

<前回>

 グリーンランドは、世界最大の島として美食の宝庫である。その筆頭にあがるのが、ズワイガニ。現地では、雪や氷の極寒海域に生息している故に「Snow Crab」という英名が使われているが、まさにその通りである。

 漁獲後船上で瞬間冷凍して船凍品として日本にも輸出しているが、やはり現地で水揚げして直送するものには勝てない。身の甘み(極甘)と、ほどよく繊維を感じる食感がたまらない。持参した醤油とわさびだが、醤油は無用でわさびを少しつけるだけでいただく。

 ただ不満がある。日本では片方の肩と脚をまとめた半身で販売されることが多いが、グリーンランド現地の場合、脚だけが供されており、甲羅どころか身がついてこないのだ。残念だ。あと、贅沢に言わせてもらうと、旨味や香りを強化する炭火焼も出してほしかった。

 魚の部では、なんといっても、オヒョウだ。形状や生態はカレイに似ていて、1mを超える巨大カレイといったところだが、体だけが大きくても決して大味ではない。ソース仕立てもいいが、これも贅沢にいってしまえば、刺身や煮付、あるいは唐揚が食べたい。

 肉の部だと、ラム肉はアイスランド同様、申し分なし。肉質は柔らかくて臭みがまったくない。肉汁がしっかりソースに溶け込んでいるので、パンにソースをたっぷりつけて食べるのが最高。

 さらに、グリーンランド地産のジャコウウシも素晴らしい。ただ焼き加減はレアと注文したのに、出てきたのは、ミディアムに近いミディアムレアだったのが残念。ブルーレアで注文すればよかったと後悔している。

 と、いろいろ贅沢な文句もいっているが、グリーンランドの美食三昧には大満足している。

<次回>

グリーンランド(3)~グリーンランド在住日本人に奇遇

<前回>

 北極圏のグリーンランドには、たった3人の日本人が住んでいる。私が偶然の機会で、そのうちの1人に出会った。

 イルリサットの街で昼食を取ろうと入ったレストラン「イヌイット・カフェ(Inuit Cafe)」。笑顔で迎えてくれたのはなんと日本人だった。まったく予想もしなかった出来事、思わず記念写真の撮影を求めた。

 ヨウコさんはデンマーク本土住まいだったが、数年前からグリーンランドに移住し、いまはイルリサットの街で働き、暮らしている。それにしてもグリーンランドにやってくる日本人旅行者、特に個人旅行者もまた珍しく、ヨウコさんも驚いた。

 日本人客とわかると、すぐに鯨料理を薦められた。鯨ステーキにご飯を添えてくれるのがあり難い。もうパン食の連続で、ご飯への恋しさが募るところだった。鯨肉の味もまた素晴らしく、ソースをご飯にかけて頬張った。

 グリーンランドのローカルビールも珍しい。昼というのに、2本もあっという間に空けてしまった。

 グリーンランドを訪れた日本人旅行者は年間僅か400名未満。デンマーク政府の統計によれば、2014年には393人だったという。日本ではグリーンランドの知名度が低いうえ、飛行時間が長く、旅費もかさむなどの阻害要因が挙げられている。

 ヨウコさんによると、最近日本のTV番組がグリーンランドの題材を取り上げ始め、彼女自身も現地で取材の協力を引き受けていた。さらに、大手旅行会社も宣伝を拡大したところ、日本人旅行客数が少しずつ増えるようになったという。

 それでも、ツアー客がほとんどで、私のような個人旅行者は年間数十名いるかいないかの状態だった。

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アイスランド(13)~アイスランドは美食国家である

<前回>

 アイスランドは地味ながらも、紛れもなく美食国家である。と、私は断言する。

 北欧に美食なしという通説は覆されなければならない。あるいは、そもそもアイスランドを「北欧の例外」にしたほうが良いのかもしれない。

 美食といえば、基本的に素材と調理という2つの判断基準がある。アイスランドの場合、どちらもクリアしている。料理の一つひとつにシェフの魂が生きている。もっと美味しくしようという衝動がひしひしと伝わってくるのだ。

 過剰な飾りがない。シンプルさというのはまさに北欧的だ。シンプルさ、新鮮さ、純粋さを重視し、素材の持ち味を単純明快に表現する。といった印象がとても強かった。

 もう1つ、バターが美味しいこと。ほぼどのレストランも独自のバターを出してくれる。ハーブ風味だったり、シンプルな塩味だったり、料理に先立ってパンを食す楽しみがドラマの序幕のように、期待感を抱かせてくれる。

 アイスランド滞在中の食事は、ハズレがなかった。

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アイスランド(12)~アイスランドのラム肉は世界一!

<前回>

 アイスランドの一番の美味といえば、ラム肉。

 私はもともと羊肉大好き人間で、羊肉が臭いなどとは一度も思ったことがない。今回、アイスランド滞在中にラム肉は5回以上も食している。アイスランドのラム肉は間違いなく世界トップクラスだと確信した。

 調理法はグリル中心だが、ラム肉スープも絶品である。ラム肉とたっぷりの野菜を一緒にスープにしたアイスランドのおふくろの味。スープにちぎったパンをつけて食べるのがマナー違反かどうか知らないが、それは最高の味だ。

 アイスランドのラム肉はまったく臭みがない。しかも、旨みがあって柔らかい。それは羊が自然体のまま育つからだという。広大な自然の中で、自由に放牧される羊は、ミネラルをたっぷり含んだ草を食べて育つ。それで最高級のラム肉ができるわけだ。

 ラム肉、ラム肉、ラム肉。アイスランドのラム肉が旨い。唯一残念なことといえば、レイキャヴィーク市内にジンギスカン店が1軒もないことだ。

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アイスランド(10)~レイキャヴィーク旧港美食めぐり

<前回>

 日本のガイドブックにほとんど取り上げられていないが、レイキャヴィークの旧港前は美食の集結地である。

 レストランの裏に回って厨房から漂ってくる食材や調理のにおいを嗅ぎ付けて判別するのが、立花家独自の流儀だ。犬のように・・・。

 レストラン「Hofnin」はベストである。昼と夜、2度も足を運んだ。期待が裏切られることはなかった。魚介類の取り扱い術は一流だ。

 ムール貝のワイン蒸しは絶品。一見小ぶりのムール貝ではあるが、身の濃密度(変な表現だが)が抜群。海の香りとワインの香りが絶妙なハーモニーを織り成す。

 同じレイキャヴィークの旧港に位置する、もう1店は、「KOPAR」。これも絶賛に値する。白身魚の料理が絶品。ただソースが濃厚系なので、アジア人の場合、胃袋の限界を意識させることがある。誤解のないように、決してまずいわけではない。旨いのだ。

 私の場合はそのとき、躊躇なくワインをやめて、アイスランドの地酒ブレニヴィンに切り替える。キンキンに冷えたブレニヴィンががらりと食感を変えてくれるからだ。一気に消化系統と神経系統が引き締まり、正確に言うと、食感がゼロベースにリセットされてしまう。

 あまりの美味しさでブレニヴィンのお代わりを頼むと、さすがにウェイターも驚いたようだ。

 ご馳走様でした。

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アイスランド(8)~南海岸めぐる、滝や氷河と絶景の連続

<前回>

 8月11日(金)、2日目のバスツアー。アイスランドで最も美しい景色が広がる南海岸をめぐる1日ツアーである。

 セリャランスフォスの滝。最大落差は60メートルを超える。滝の裏側にはくり抜かれたような窪みがあり、小道が造られており、歩いて滝の裏側に入ることができる、というのが特徴だ。

 スコーガフォスの滝。これも落差60メートル級の滝で、裏の滝壺に金塊や宝が隠されているとか、いろんな噂がある。まあ、観光地は何かと物語があったほうが良いに決まっている。

 バスがさらに南東方向へ向かい、アイスランド本島の最南端にある小村ヴィーク(Vik)に到着すると、ランチタイム。大好きなラム肉をいただく。

 午後はブラックサンド・ビーチとレイニスドランガル岩柱群を見学。奇岩、真っ黒な砂と石でできたビーチ、海面から突き出て並ぶ岩柱群・・・。素晴らしい景観だ。

 最後に、南部のミールダルスヨークトル氷河の氷舌ソウルヘイマヨークトル氷河。火山灰に覆われているため黒色をしている。全長は8kmにも及ぶ。

 19時過ぎ、レイキャヴィーク市内に帰着。

<次回>