1月13日(土)、ハジャイ滞在最終日。朝は、チョークディー(Chok Dee Dimsum)という有名な点心屋でブランチを食べる。人気店で混雑していて待つこと10分でようやく着席。結論から言おう。基本的に量産化しているので、味は大したことはない。サービスも荒い。
点心をつまんでいると、ふと思いついた。ここタイ南部という地方柄、いわゆる純粋なタイではなく、中華系やマレーのイスラム系も混在しており、そのうえ半島の細長い地形も特徴的で、ある意味で複雑な場所である。こういう場所に運河を通すという構想がずいぶん昔からあった。
つまり、わざわざマラッカ海峡、シンガポールを迂回せずに、新物流ルートとして、太平洋からインド洋に直接抜けるために、マレー半島を横断する運河や鉄道を建設してしまうことだ。ただ運河の場合、物理的に半島を真っ二つに切ってしまうと、タイ南部の複雑な宗教事情もあって、その地域にタイから独立する機運が高まるリスクもある。
現在、タイ政府は運河の代わりにクラ地峡の東西に高速道路や油送管を通す「ランドブリッジ構想」を掲げている。それなら運河のように陸地を真っ二つに切ることなく、建設コストも少なくて済む。一見効果的な構想ではあるが、私は否定的に見ている。簡単に理由を述べよう。
まず、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河と一緒に考えてはいけない。マラッカ海峡とシンガポールを迂回しても、航海に所要する日数の大差はない。ランドブリッジの場合、一度コンテナを下ろし、陸上輸送し、再度積み込むための時間とコストもかかる。それをマラッカ海峡迂回と比べて絶対的優位性があるとは思えないからだ。
マラッカ海峡に取って代わるのではなく、マラッカ海峡物流の一部を分散させるという地位にとどまれば、投資の回収も期待利益も多くの課題が浮上する。故に「ランドブリッジ構想」は当分無理なのではないかと思われる。
<終わり>