リストラ雑論、弱者が路頭に迷いますか

 中国はリストラの真っ最中。某人事情報業者がまとめてくれた一覧を見ると、改めて深刻さがギシギシ伝わってくる。

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 リストラとは善か悪か。私自身も企業からの要請があれば、リストラのお手伝いをさせていただくこともあるし、さらに経営状況に応じて、リストラを提案することもある。リストラが悪だという捉え方であれば、私が悪の手助けをしたことになる。批判を覚悟のうえで、実情を書いてみたいと思う。

 ごくごく一般的、普遍的、日本的な価値観でいえば、少なくともリストラは善ではない。第一義的な判官贔屓、いわゆる弱者同情が集まったところで弱者に通常正義があるからである。

 正義論は大変複雑な哲学であり、数千年も哲学者たちが議論してきたイシューであり、あえてここで展開しない。仮説を立てたい――。仮に弱者に正義があるとすれば、弱者を路頭に迷わせるようなリストラは悪になる。実は昔、私自身もこの仮説に立って物事を考えてきた。ところが、中国のリストラ現場は少々景色が違う。

 リストラを自ら望んでいる従業員もいることである。会社を辞めようと考えている人で、自分から一身上の都合で辞表を出してしまうと補償金がもらえないから、補償金が付くリストラをしてほしいわけだ。これは弱者でも何でもない。

 さらに、一見永年勤務である上級管理職であっても既得利益だけがんじがらめでポストを占領しつつも、ろくな仕事をやらない。リストラと告げられても、「これだけ長年の古参を首切る会社は許せない」と弱者ぶる人もいる。高給取りの彼・彼女たちが賃金原資の大きな部分を食い潰し、ポストを占領し、有能な若手社員からチャンスを奪う。このような人たちは弱者といえるのだろうか。

 弱者とは何か。弱者と強者の峻別。本物弱者と偽者弱者の峻別。弱者救済の基準の規定、均等な機会の付与・・・。リストラも含めて会社のあらゆる人事労務管理では、画一的な既成概念で捉えてはならない。日々自分に言い聞かせている。

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コメント: リストラ雑論、弱者が路頭に迷いますか

  1. 全く持っておっしゃる通り。

    ワーカーは、ある意味、景気の調整弁とされる資本主義の被害者とも言えるかもしれないが、管理職ともなれば、その判断は困難です。

    弱者と強者の判別は実に難しい。

    その困難に真っ向から立ち向かう立花先生には敬服するばかりです。

    ところで、本題と関係ありませんが、掲載されている図表の地区別リストラ人数ですが、ほとんどが全世界の人数で、中国の分は項目としては多いものの、合計してもわずか2,600人にも満たない数となっています。

    中国以外の国は国別にほとんど国名として表されず、中国の分のみが少数であれ国名で出ているようにも読めるのですが、全世界(全球)で表示される場合と、国別で表示される場合の基準はどのようになってるのかよくわかりません。

    中国の場合、200人とか100人でも国名で表示されているにも関わらず、全世界の表示では10万人クラスのものがあります。100人に達しない場合は国名で表示しないことになっている?というのも少しおかしい気がします。

    一体どんな基準で、国名表示となるのでしょうか?可能であれば教えて頂けると有難いです。

    1. 大嶋さん、コメントありがとうございます。図表に関して、すみません、情報提供業者のレポートとセットになっていて本当はまとめて提供すると、分かりやすいのですが、著作権の問題もあってお許しください。あくまでも参考資料として読んでください。たとえば中国の場合、まず法定リストラは、労働行政当局の承認など要件充足が過酷でほとんど実施不能です。実務上必ずしもリストラ(経済性裁員)という形をとるとは限りません。すると公式的にリストラ人数の集計が難しいと思われます。さらにどちらかというと、表に出ている大手よりも中堅以下の企業のリストラが総量が大きい割りに注目されないのが怖いなと思います。ちなみに私が担当している日系も大手を含めて一部リストラに取り組んでいます。

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