キャラバン漂流、中国撤退日系企業の四分の一がベトナム移転

 中国から撤退する日系企業。4社に1社がベトナムへ移転する。

 「中国撤退の日系企業の25%がすでにベトナムへ移転している」。ジェトロ・ホーチミン事務所の安栖所長がメコンデルタ投資関連のセミナーでこう述べた(11月21日付ベトナム国内英字紙「トゥオイチェー・ニュース」記事

 製造業のベトナム移転はさらに加速化するだろう。TPPの発効を控え、まずはアパレル関連が大挙して中国からベトナムへ移転する。当社では従来配信している顧客向け産業レポート「ERIS中国繊維・アパレル」に加え、来年2016年1月から「ERISベトナム繊維・アパレル」を創刊して配信をスタートする。

 それに先立ち、これも顧問企業顧客向けの「ERIS中国経営レポート」の姉妹誌として、来月12月からベトナム版「ERISベトナム経営レポート」をキックオフする。明日のベトナム出張を前に、たった今創刊の挨拶を書き終えたところだ。何かと慌ただしい。

 中国の軌跡を追うように、ベトナムは今後10~20年に黄金期を迎えるだろう。産業集積が産業の移転と存立の基盤である。基本的に縫製業からスタートして、産業集積の高度化につれ、家電や自動車産業、そしてサービス業へと裾野を広げて行くわけだが、それがいざ全盛期を迎えるとまたもや人件費等コストの高騰で企業が悲鳴を上げ始める。

 ベトナムも永遠の楽園ではない。いずれ発展すれば多くの企業がさらに次なるフロンティアを探し求め、西へ西へとキャラバンのように移動する。であれば、この10年や20年の黄金期を生かしてとにかくベトナムで利益を作り出さなければならない。外国企業で投資先の国に溶け込んで土着化していくのがほんの一握りしかいない。特に日本企業。そこで土着化しなくてもいいから、少なくとも「稼ぎ逃げ」しようと。

 利益は呼吸のようなものだ。人間は呼吸のために生きているわけではないが、呼吸がなければ生きることすらできない。企業には利益が絶対に必要だ。さあ、ベトナムでの稼ぎ方とは何か、これを見つめて企業と一緒に戦っていきたい。

タグ: