バラ色の不動産投資話、業者誠実度プロ度3大チェックポイント

 クアラルンプール市内の一等地、将来性抜群・・・。日本在住の友人が事実を検証しようと、相談を私に持ちかけた。マレーシアの人気が衰えないなか、便乗して不動産投資を盛んに勧誘する日系不動産仲介業者が多いようだが、投資者に警鐘を鳴らしたい。

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 まず、一時ブームだったジョホールバルがダメになった。シンガポールとジョホールバルを、香港と深圳に喩えたところ、その素人騙し商法の稚拙さが完全に露呈する。ジョホールバル出身のマレーシア人友人が、「えっ、我が故郷がいつの間にかこうなったのか」と大笑いする悪い冗談だった。

 今度クアラルンプールの出番になったのか。良質で誠心誠意の仲介業者であるかどうかの判断基準ついて、3点ほど挙げたい。

 まず、クアラルンプールの不動産市場の実態、特にリスク情報を誠実に開示してくれるかどうかだ。たとえば、一等地とされる中心部KLCCあたりのコンドミニアムの空室率。借り手のつかない物件がどれだけあるか。キャピタルゲイン狙いならそれも数字を提示してくれるかどうかだ。

 次に、上記に基づく投資利回りの実態を開示してくれるかどうかだ。現状、表面利回りで4%~5%台が一般的ではないだろうか。だったらREIT、いや安定性なら定期預金(3%~4%台)のほうがマシだ。投資家は金を殖やすのが目的。仲介業者は投資者に不動産を買わせるのが目的。この2つの目的の間に生まれ得る利益相反に注目したい。

 最後に、仲介料についてだ。一般に日系仲介業社が日本人客から数%の仲介料あるいはサポート料を取っているケースが多い。それをマレーシア人が聞いてびっくり仰天。現地業者は基本的に買い手や借り手からお金を取らない。売り手や家主から仲介料を取るのだ。買い手や借り手からお金を取るなら、その分リスク情報を完璧に提供するのが当り前だろうが、それをやっているかどうかだ。

 ついでにいうと、賃貸も含めて日系不動産仲介業者のほとんどが直接に物件を持っていない。現地業者の下請けになっているだけだ。大手不動産ポータルサイトで物件を検索したら、一次仲介や代理の連絡先が載っているから、そこに連絡して内覧をアレンジする。

 言葉の問題だったら通訳を雇ったほうが安上がりだ。日系不動産仲介の強みはやはり日本人客の立場に立って、しっかりリスクをも語り、取引破談になっても顧客の利益を固守することができるかどうかだ。そこでリスクを隠すのはまだ一応プロのうちなのだが、リスクすら知らない素人業者では困ったものだ。

 それ故に、投資者(消費者)は甘えの気持ちをまず捨てることだ。ある程度の勉強をして、得た知識を隠してわざと業者に質問して業者の誠実度とプロ度をチェックする。

 マレーシアに限らず、不動産に限らず、海外日本人(企業)を客とする業者は増える一方で、玉石混交だ。その良し悪しの見分け基準はやはり、商品やサービスのリスク説明、しかも、枝葉末節なものでなく、本筋の中核的リスクの説明である。そこまで堂々と語れる業者なら幾分料金が高くても、使う価値があるだろう。これは消費者としてもつべきモラルである――良質業者に儲けさせ、長生きさせることだ。

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