ペナン食い倒れ日記(10)~ホテル見聞と雑感、階級の棲み分け

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 今回ペナンで泊まるSLH系統(Small Luxury Hotels of the World)のエディソン・ホテルは、植民地時代の邸宅を利用し改造したブティックホテルである。何よりもフレンドリーな準パーソナルサービスが素晴らしい。

 客層もよろしく紳士淑女がほとんどでマナー違反行為は皆無だ。マナー問題で度々指摘や批判をされる某国人の客も数組滞在していたが、まったく問題なく上品な振る舞いを見せてくれた。サーブしてくれるスタッフには丁寧な英語で礼を言っているし、何と心地よい。かの国においては階級の形成が着々と進んでいるようだ。

 「階級」といえば、平等を是とする日本人なら、いささかアレルギーを起こすだろう。私は以前に、英国人やインド人にその話を率直に聞いたことがある。両者の回答はほぼ一致していた――。

 「集団間の摩擦や対立ないし闘争を避け、平和な社会秩序を維持するうえで有効かつ必須なシステムだ」。では、人権の平等という意味でどう解釈するべきかと反問すると、「階級は人権を否定するものではない。対等な人権をもつ人間グループの区別符号だ」という回答が返ってきた。

 「Letters to mark differences」というような表現が使われていたと私は記憶している。こう説明された以上もはや日本的な意味における「格差」、英語でいうと「Disparity」、つまり「不均等」レベルの命題に突っ込む余地もなくなったと言ってよかろう。

 思うには、日本の場合上下関係の「階級」よりも、フラットな集団区別と一定のルールに基づく棲み分けがあったほうが社会に有益なのかもしれない。将来に向けてだ。

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