「アンスクーリング」型のマネージャー研修への移行

 ここ数年私のマネージャー研修は、「アンスクーリング」的な形態にだんだん移行している。

 「アンスクーリング」(Unschooling)とは、教育を受けていないという意味ではなく、学校に通っていない、あるいは堅苦しい学校に似た環境で教育されていないことを指す。「非学校教育」を意味する。元々はホームスクールの主唱者でありアメリカでのホームスクール運動を主導したアメリカの教育者ジョン・ホルトが提唱した学び方である。

 「教育とは学習者主体であるべきだ」との考えで学習者たちは、自らの好奇心や探究心によって学び続ける。何も子供だけの話ではない。大人、企業のマネージャーや経営者も同じ。学習者として講師から「教えてもらう」のではなく、「必要なものを自ら学ぶ」という主体性をもって「必要な知識はどこにあるか」「どう学ぶのか」といった形態でどんどん進んで学んでいくということだ。

 私は講師として「何か」を教えるのではなく、学習者たちと「学び方」を共有する立場にある。主旨を明確にし粗筋を描き出したところで、細かい授業の内容を事前に決めずに研修の現場に臨む。その日その日学習者の異なる反応やフィードバックに、異なるアプローチを取っていく。だから、同じようなクラスは存在しない。

 そうしたスタイルでまず、教科書たるものは存在しないし、パワーポイントすら用意できないのだ。それはそれでいいと思っている。講師の私にとっても、「さあ、今日のクラスはどんなクラスになるだろうか」とワクワク感満点。自分も勉強になることもたくさんあるし、学習者たちと一緒に学習する絶好のチャンスにもなる。

 先日、某機関のセミナーを引き受けたとき、事前に内容のパワーポイント電子データを送ってくださいと何回も依頼された。「ない」と言ったら、「いや、それは絶対にあるはずです」と先方が一点張り。困らせたくないので、粗筋のスライドを5枚だけ送った。文字数は全部で100文字ちょっと。

 「アンスクーリング」スタイルは、最近ベトナムで結構好評をもらっている。現地人マネージャーたちは「こんなクラスは初めて。とにかく面白いから、学んだものは忘れない」。とても、嬉しい。そうした学習効果を求めていた。「第1章、第1節」のような教え方、私は大嫌いだ。クラスって生きたものでなければ、意味がない。

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