マレーシアは天国、私流の吝嗇家「B級グルメ理論」

 マレーシアに移住してから、自分に1つの大きな変化があった。それは、完全なB級グルメに変わったことだ。自分のブログ記事をみても分かる。

 いちばんの原因はやはり、マレーシアが「B級大国」であることだ。A級はないわけではないが、絶対数が少ない。何よりも、B級のコストパフォーマンスが良すぎる。これに慣れると、なかなかお金を出してA級を食べる気が起きなくなり、吝嗇家(りんしょくか)になっていく。

 私が定義する美食は、「素材」「調理」「盛り付け」「環境・サービス」という4つに分けられる。

 素材に関して、上質・良質の「質」と希少性の「量」の基準で判断すると、B級の食材はほとんど希少性がない。ただ質がA級より下かというと、必ずしもそうではない。あとは好みの問題だ。たとえば、霜降りの和牛と良質な赤身、私は断然後者を好む。値段も格付けも違うけれど。

 調理について、B級のほうが一般的に雑といわれている。ただ雑といっても、すなわちまずいというわけではない。実は言うと、個人的には凝ったソースよりもシンプルな調理法を好む。少なくともソース派ではない。ソースは素材の味を引き立てるときもあるが、邪魔になるときもある。一種のリスクである。

 盛り付けとなると、食器を含めて、B級の完敗。これを求める場合は、A級以外に選択肢はない。ただ例外もある。たとえば中華飲茶の場合、高価なボーンチャイナよりも、アルミ蒸篭と食器のほうがずっと美味しさを引き立ててくれる。マニアックな嗜好かもしれないが、私はそう感じている。

 「環境・サービス」。これもほぼB級の完敗。清潔さだけは譲れないが、肩凝らないという点では、B級が上。もう1つ、サービス。期待外れのリスクに関して、B級の方がずっと低い。最初から期待しないからだ。

 と、私流の独断と偏見に満ちた「B級グルメ理論」である。

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