「ブースター(booster)」という言葉は、「後押し」「後援者」を意味する。弱化する予防接種の効果を補強するための追加接種は、「ブースターショット」(ブースター接種)という。気がついたら、ワクチン接種データグラフの下方にダーク色で3本目のラインが登りはじめた。それがブースター接種者数だ。いくつかの疑問が浮上する――。
1. ブースター接種の効果は弱化するのか?
2. ブースター効果が弱化したとき、ブースターのブースターが必要になってくるか?では、ブースターのブースターのブースターという持続的定期接種になるのか?
3. 上記のように「増量」で問題解決できるのか?「量」の問題よりも、そもそも「質」の問題ではないか?
さらに、さらに、もう1つ大きな問題がある。2回接種した人は、今までは「完了」とされてきたが、ブースター接種の拡大とともに、「未完了」になってしまうことが目に見えている。つまりグラフ上いちばんダーク色の人が現時点の「完了者」となるわけだ。
すると、時間の経過につれ、2回接種の効果が弱化し消えていくわけだから、最終的に2回接種者は未接種者と同じグループになるだろう。
これらの問題は、どこの国の政府もタブーとしている。政治家の意図は明らかだ。とにかく打たせることだ。そのためにこういった問題の提起はタブーだから。議論できないことは議論しないのがいちばん。
正直にいって、何回なら打ってもいいかという質問に、人はそれぞれ異なる答えがあるだろう。基本的に回数の積み上げとともに、「ノー」の拒絶者が正比例に増える。現在でもマレーシアの場合だが、ブースター接種のすっぽかし率は一部の地域では、すでに4割に達したという。
ブースター接種を予約したにもかかわらず当日接種会場に姿が現れない。それは予約してから、新たな情報に触れ、本人の考えが変わったというケースがほとんどではないかと。次は予約率そのものが落ちるだろう。
1回接種して2回目すっぽかす人が少ないのは、最初から2回セットになっているからだ。しかし、予定外のブースターは違う。ブースター接種率が低迷していると、「未完了組」が増えていずれマジョリティにもなりかねない。
すると、次の措置が取られるだろう。まずは2回接種完了後の有効期間を設定する。期間終了後の2回接種者は、未接種者同様のステータスに格下げされる。ブースター接種者と2回接種後有効期間内の人のみが「完了組」となる。その次、ブースター接種も有効期間が設けられ、同様のステータス定義がなされる。最終的に、接種状態の確認よりも、リアルタイムのPCR検査でグループ分けするしかなくなる。
要するに、接種者と未接種者の区分から、陰性陽性の区分に切り替わる。はい、あなたはブースター接種、済んでますか?