旅(1)~鹿児島は世界一素晴らしい場所だ!

 昨日のブログで、旅行の話をした。では、旅のことに少し触れてみたいと思う。

 旅嫌いな人は、世の中に少ないだろう。私の初社会人の同期で、鹿児島出身のT君がいる。T君とは、親友プラス「悪友」の関係で親交が深いが、彼は私生涯出合った唯一の旅嫌いでもあるのだ。

28944_203年7月、バリ島の青空

 彼は後、東京の仕事をやめて、故郷の鹿児島に帰って、地元の役所で働くことになった。私は何度か鹿児島まで遊びに行って、桜島を一緒に回っては繁華街で飲み食いしてドンちゃん騒ぎもした。毎回別れ際には、必ず「次は、上海で会おう」と約束する。けれど、彼はとうとう上海に姿を現すことはなかった。

 彼は、私と同じ40代の人だが、いまだに、パスポートを持ったこともない。彼は、徹頭徹尾の「鹿児島ファン」なのだ。鹿児島は世界一の素晴らしい場所だと宣言している。東京でも住みづらく感じ、まして外国など一目でも見ようと本気で好奇心を持ったこともないだろうと思った。最近になって、彼の生き方は正しい側面もあると思うようになった。

 私は、いままで、世界の37か国を旅した。自信を持っていえることは、この37か国がすべて好きだったことだ。もちろん、好きの度合いこそあるものの、好きな気持ちは確かだ。97年に旅した北朝鮮を含めてだ。因みにいうと、私は、北朝鮮も好きだ。

 一つ一つの国や地域には、それぞれの個性と文化があって、知らない世界に迷い込んで、驚きや感動を体験するのが、旅の醍醐味だ。「多様性を認め、複眼的にものを見る」という、私のコンサルタントとしての基礎を形成させるに、旅が大きく役に立ったことは否定できない。

 一方では、私は、旅の浮気症にかかってしまった。なかなか特定の国のリピーターにはならない。次から次へと未体験の国に足を踏み入れたくなる。リピーターになりたくないわけではない。ただ、人生に限りがある。限られた人生に、私たちが住むこの星を少しでも多く見ようという気持ちが非常に強いからだ。

 2000年に独立してから、2003年までの3年間は、私の旅日記に唯一の空白が残った。独立したてのころ、とても、時間的な余裕も、金銭的余裕も、気持ち的余裕もなかった。

28944_303年7月、バリ島の夕日

 事業が軌道に乗るか乗らないかと、一日は16~18時間の勤務、あとは寝るだけ。今でも、仕事のリズムはそれほど変わっていないが、唯一ホッとできるのは、年に2回ほど休暇を取って旅に出かけられるようになったことくらいだ。

 2003年夏、独立してから初めての旅先は、インドネシアのバリ島だった。バリ島は、三度目で、リピーターの「嫌疑」はあるものの、3年間の疲れを取って、骨休みするには最適だったからだ。

 バリ島では、リッツ・カールトンに1週間滞在した。そういえば、後日、このバリ・リッツには、大きな異変が起きた。次回、お話しよう。

<次回>

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