バイデン戦略の深読み、中露は切っても切れない「同盟」なのだ

 ウクライナ戦争について、バイデンの戦略は、少し深読みする必要がある。

 ロシア制裁の次に中国制裁が狙いという仮説である。正確に言うと、通商で親中の欧州は対露制裁に乗っかった時点で、対中制裁に乗らない大義名分を失った。日本も然り。

 そこで中国のロシア支援、中露の一体化が明らかになった時点で、バイデンは中国制裁を打ち出す。ここまでくると、中国は台湾侵攻に踏み切らざるを得ない。第三次世界大戦になる。

 このシナリオだと、日本が受ける被害はかなり大きい。経済制裁の段階だけでも、強烈なインフレに襲われる。スタグフレーションかもしれない。さらに、本日(2022年3月23日)夕刻のゼレンスキーの日本国会演説をもって、日本の対露宣戦布告とみなされるだろう。日本の国土もロシアの攻撃対象になり得る。妙な正義感で巻き込まれるのは、賢明ではない。

 アジアでは気が付いたら、対露制裁を宣言したのは、日本、台湾と韓国だけではないか。シンガポールも実質的に引っ込んだ。アセアンをはじめ、インドも含めてみんなだんまり。したたかだ。そういうときに、日本だけが「出る杭」になっている。

 多難な時代だ。コロナは単なる序章だったかもしれない。しかし、他人同士の対立と戦いで利益を手にするのはバイデン。老人だが、決して彼はボケていないようだ。

 中国はロシアを捨て、米に屈服することはあるのか?中国共産党内の派閥闘争で逆転がなければ、その可能性は皆無といっていい。まず、それはつまり中国の降伏、世界の米国一極化を認めることになるからだ。

 習近平は、「鄧小平は中国を豊かにしたが、自分は中国を強くした」と自負している。米国に頭を下げれば、すべてが水の泡になる。そんなことを許すわけがない。

 それだけではない。ロシアが負けた暁には、ロシアはNATO加盟する。そうすると、欧米のミサイルが露中国境までやってくる。これも許しがたいことだ。そもそも朝鮮戦争を思い起こしてほしい。同じ状況、いや、それ以上ひどい。

 中朝国境線の総延長は1420km、中露国境線は4210km。朝鮮戦争に志願軍を出す中国は、ロシアに援助の手を差し伸べないはずがない――唇亡歯寒。

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