台湾も陥落「共存」政策転換、中国が「ゼロコロナ」堅持する理由

 5月3日、台湾の新型コロナ感染者は2万人を超えた。今後しばらくは急増すると予想されている。これまで世界の防疫優等生だった台湾もついに陥落、台湾神話は無残に破れた。

 台湾は実は中国同様、「ゼロコロナ」政策派だった。昨年7月に流行を抑え込んだ後も厳しい抑止政策を続けてきたが、今回の流行で方針を転換した。蔡英文総統は4月26日に対策本部を視察し、「コロナと経済、社会活動との共存を進める」と強調し、「ゼロコロナ」政策の放棄を宣言した。

 蘇貞昌行政院長も「台湾は上海のような都市封鎖(ロックダウン)はしない」と言明している。しかし、「しない」ではなく、「できない」だ。民主主義国家では到底、「ゼロコロナ」政策を実施・維持することはできない。これが本質であり、「Withコロナ」という共存政策以外に選択肢はない。

 自分でできないことを、中国がやっているのだから、それを批判・非難し、自己正当化する。これはいささか民主主義国家グループの「酸っぱい葡萄心理」だ。

 中国には中国の論理がある。14億人の大国で欧米並みの「Withコロナ」をやったら感染者・死亡者の絶対数レベルでは医療崩壊ないし葬儀業崩壊もあり得る。

 最も評価の高い世界五大医学雑誌の1つであり『ランセット』(査読制)の論文によれば、2020~21年米国の異常な死亡人数超過分(コロナ関連死)は、100万人以上に達しているという。人口規模で試算すると、中国は「ゼロコロナ」をやらなかったら、軽く400万人以上の死亡者を出していただろう。

 さらに、オミクロンの後遺症が問題になりつつある。オミクロンは重症率が低いが、タダの「風邪」ではない。「Long COVID」「Post-acute COVID-19 syndrome」が増加中。

 後遺症について、医学的には、ウイルスに感染した組織(特に肺)への直接的な障害、免疫の調整機能への影響による炎症の持続、血液が固まりやすくなる状態が続くことによる血栓症、集中治療後症候群(PICS)などが原因ではないかと推測されている。

 咳、痰、息苦しさ、息切れ、胸の痛み、味覚・嗅覚障害、筋力低下、動悸、脱毛、下痢、腹痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛、しびれ、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、けん怠感、抑うつ(気分が落ち込んで何もする気になれない、憂鬱な気分)、ブレインフォグ(脳の霧)…など、深刻な状況が報告されている。

 長期的に、どうなるのか?集団免疫を獲得してコロナが収束した場合、後遺症患者層の総人数が大規模になれば、社会保障上のコスト増、コロナ後遺症による格差の拡大、国民総品質の劣化、ひいては国家経済、安全保障上の大問題につながりかねない。

 そういったリスクを回避し、大国の優位性を守るうえでも、「ゼロコロナ」が唯一の選択肢になる。これが中国の論理ではないかと。

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