乱闘状態の世界、隠される真実とは?

 昨今、台湾、中国、ロシアといった時事ネタが議論の中心だ。しかし、日本に本物の中国関係の論客は、1桁以下。中国語ネイティブレベルはもちろんのこと、かつ「中国屋」ではないこと、物事の本質の洞察力、経済と政治の複眼的目線を持つこと、どろどろジャーナリストではないこと、世論のノイズに鈍感であることが求められる。

 だから、日本語情報のほとんどは無意味である。

 台湾政策法。米国が本気で台湾支援を強化するという見方は、額面読みで、幼稚、無知過ぎる。米国はただ中台戦争の勃発を挑発しているにすぎない。中国はまだ乗らないとは思うが、世界がかなり荒れる。

 先日ウズベキスタンで開催された上海協力機構首脳会議は、歴史的会合だった。イランの新規加盟もあって、西側「マフィア国家同盟」から見た東側「ならず者国家同盟」の本格発足と言っても過言ではない。大動乱時代の幕開け。

 上海協力機構の拡大は最終的に「ユーラシア同盟」を作り出す。中東産油国そしてASEAN諸国も加わるだろう。その巨大集団と対峙する最前線に立つのは、日本。しかも米国はすでに第一列島線を事実上放棄しているだけに日本の位置付けは明らかにウクライナ同様、最終的に捨て駒。

 大方の国民が「アメリカが助けてくれる」と誤認している。日本は政治的方向修正すらできない。韓国の米中二股戦略が正しい。日本人は米国の助けがなくても中国と徹底抗戦(経済を含めて)する意志があれば話は別だが、無理だろう。

 最近、ウクライナ戦場で中国製武器弾薬が見つかったという未確認情報がある。中国軍事チャンネルが報じているのは、世間に知らせたいためか?いずれにしても中露準同盟はほぼ確実。プーチンは中国の対台侵攻も支持する姿勢を明らかにしている。中台戦争に伴う西側の対中制裁に対抗して、ロシアは中国にエネルギーと食糧の提供を約束。軍事支援もあり得るだろう(北海道侵攻も可能性ないわけではない)。

 一方、台湾はウクライナではない。小さな孤島で陸上補給(In)ができず、難民の海外脱出(Out)すらできない。しかも、中央山脈が横たわっている。今後の5年、習近平の第三任期内、このままでは中台戦争は回避困難だ。「台湾有事は日本有事」とは言っているが、肝心な結論で、日本はいったい「台湾防衛」か、それとも「日本防衛」か。

 「日本を信用するな」。と、私は台湾の友人にそう言っている。自分も守れない国はどうなって他国を守るのか?

 中国には5つの弱みがある――。エネルギー、食糧、金融、半導体、人権・民主主義の大義名分。この度ウクライナ戦争で中露一体化並びに上海協力機構の陣営拡張によって、エネルギーと食糧、一部金融の問題が解決し、さらに西側との決裂で民主主義イシューも問題にならなくなる。残りは半導体問題だけだ。習近平はすでに半導体に関しては挙国一致体制を命じた。半導体問題を乗り越えられないことに賭けていいのか?

 最後にロシアに触れてみたい。直近のハリコフ大撤退、西側メディアがこぞってロシアの「負け」と宣伝する。果たしてそうなのか、1~2か月で結果が見えてくる。戦争の生産性も管理会計でしっかりマネージしなければならない。

 国土占領も奪還もプロパガンダ戦において重要。そのために米欧は宣伝にコストをかける。それを逆手に取って利用すればいい。老獪なプーチンは知恵の塊だ。

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