ベトナム料理といえば、春巻き。よく知られる生春巻き(ゴイクン=Goi cuon)と揚げ春巻き(ネムザン=Nem ran、チャーゾー=Cha gio)以外に、蒸し春巻き(バインクォン=Banh cuon)やからし菜春巻き(クオンジェップ=Cuon diep)もある。
料理法よりも、その具材の多様性が凄い。さらに具材の組み合わせパターンも入れると、ベトナム春巻きの種類は無限にあると考えてもよさそうだ。なので、「春巻き」という料理の名前ではとても網羅できない。むしろ「食べ方」とした方が適切なのかもしれない。
焼肉をサンチュで巻いて食べるのは、決して「焼肉春巻き」と言わないのと同じ、単なる食べ方である。ベトナムの春巻きはライスペーパーだけでなく、からし菜春巻きのように野菜で巻くのもあるし、まさに食べ方である。
巻いて食べる以外に、挟んで食べるのも「包み食い」の延長と言える。バインミー(バゲット)というベトナム式サンドイッチは、実に面白い。バターやパテを塗り、野菜、ハーブ類、肉などを挟んで食べる。その具材もまた多彩であり、ホーチミンの中華街で売られるバインミーは、北京ダックのスライスまで挟んでしまうのである。
ベトナムの「包み食い」という食文化の源はどこなのか、なぜこういう食べ方ができたのか、大変興味深い。