「ゼロコロナ」政策に抗議するデモ、革命にならないワケ

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 中国の「ゼロコロナ」政策に抗議するデモ、いわゆる「白紙革命」。発生した当時に、私は「長続きしない」と断言した。その通りの結果になった。

 日本の報道や評論では、「異例の抗議活動」と表現されている。「異例」は、西側諸国が作り上げたもので、希望的観測である。革命になっていないし、中国全土を席巻し、政権の存続を脅かすようことはあり得ない。2点ほど言おう。

 まず、中国国民のなかに、今の政権に若干の不満を持つ人が多い。それは事実。どこの国も同じだ。ただ、それが直ちに政権を転覆する動機付けにはならない。たとえその動機があったとしても、相当の代価(犠牲)を払う意思も勇気もない。西側の報道いわく「国民の反発」は実質的なパワーの形成にはつながらない。

 次に、中国共産党内部の派閥闘争。言っておくが、決して「独裁 vs 民主」の闘争ではない。共産党支配の存続を維持する一点では、いかなる派閥も横断的に利益を共有している。したがって、党内民主派は実在しないし、民主をもって独裁を倒すというのは西側の妄想にすぎない。

 これが本質なのだ。最後に補足しておく――。

 独裁制が腐った肉なら、民主制は腐った魚。魚が肉より健康に良いかもしれないが、腐ったら一緒だ。民主を絶対善として独裁を批判し、独裁を地球上から抹殺しようとするのがおかしい。それこそ、民主制の独善・独裁ではないか。

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