苫小牧食い倒れ(2)~「なか善」、魚屋直営店の刺身居酒屋

<前回>

 苫小牧は食べるために滞在するのであり、観光などはしない(観光スポットらしきものもない)。午後はホテルで休み、メール処理する。夜は街に繰り出し、魚屋直営店の刺身居酒屋「なか善」を目指す。

 この手の居酒屋で一番困るのはメニュー選び。結論からいうと、全品食べたいからだ。そこから何を選ぶかは至難の業。「ご注文は」とサービススタッフに促されても、「うーん、ちょっと待ってくれ。決まったら呼ぶから」としか言えない。そこで5分も10分もかかったりする。

 優柔不断でメニュー選びに難儀しながら、やっと第一陣の注文が決まる。まずはもちろん刺身。盛り合わせは価格的に割安だが、ぴったりとニーズに合うことが少ないので、基本的に敬遠し、単品にする。本日はニシンとイワシの刺身。これはこれは、夢見心地。昇天!

 次に、厚岸産特大生牡蠣。どう表現したらいいかわからない。私自身の食感からすれば、海産物よりもフルーツに近い。優しくプチっと歯を立てると、一瞬に口中に広がる「海のジュース」。これもまたまた夢見心地。単純に「至福」という言葉で表現しきれないその瞬間。

 続いては、斜里産キンキのしゃぶしゃぶ仕立。しゃぶしゃぶ仕立てといっても、想像していた野菜はない。和食はどうしても野菜不足になりがちと文句を垂れても、結局メインの魚や肉が美味しすぎて、胃袋は野菜に収容空間を提供しないからだ。自己責任の範疇でもある。

 私(立花家)は居酒屋もレストランもお酒を飲むので、多いときは5~6回に分けてゆっくり注文する。料理の1品や2品で長い時間で粘ることなく、むしろ食べ終わるタイミングを見計らってどんどん次の注文を入れる客単価の高い客である。

 客単価が相対的に高いといっても、日本の居酒屋の客単価は全体的に、絶対値的に安い、安すぎる。このような素材系のお店は品質的に先進国レベルでは1人1万円でも高いと言えない。地方はまだしも、東京などの大都会なら経営は固定費に潰されてしまうからだ。

 ご馳走様でした。

<次回>

タグ: