和に貴賤あり

 「和を以て貴しと為す」という日本の古典は、調和を重要視する。論語の中に「和して同ぜず」という言葉がある。君子は誰とでも「協調」するが、道理にはずれたことには「同調」しない。道理を弁える主体性をもって人と付き合うべきだ、という意味である。

 故に、現在日本人が普遍的に捉えている「同調=和」はまったく間違っている。本物の「和」は、無原則的・非主体的な「同調」を排除している。道理を弁えず、単なる「同調」をベースにした「和」は、「貴」と為すべからず、「賤」である。職業に貴賤なしだが、和に貴賤あり。

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