カネと豪華ハコもの以外に何が必要?サービス小国の惨状

 1年前の記事「天津ラッフルズホテル体験記」に、読者から書き込みがあった。

 どうやら、私の悪い予感がまたもや的中し、天津一のラグジュアリーホテルは、やはり「ハード一流、ソフト三流」の豪華ハコものに転落したようだ。

 さらに驚いたことがある。私が泊まった一年前の当時、ソフトオープンの特別プロモーションと称して、確かに1300元という破格の値だった。グランドオープンすると、割引が効いた最安値でも1泊2000元を超えるという「超」がつく豪華ホテルになるはずだった。ソフトオープンのうち、泊まっておかないと、二度とこんな安値で泊まれないと・・・密かに喜んでいた私。が、いまは、調べるとなんと988元(本日付、「Ctrip」最安値)で泊まれてしまう。大損した気分だ。でも、988元でももう泊まりたくない。

 ラッフルズは中国で惨敗を喫した。といっても、氷山の一角だろう。

 「国際接軌」。中国でよく言われる「国際スタンダード」とは、ハードに限っていえば見事に実現したかもしれないが、ソフトは、まだまだ三流、四流、五流、あるいは「流」に入らないくらいずさんなものだ。

 いや、負けたのは、ラッフルズではない。中国だ。ラッフルズは撤退すれば、相変わらず世界のラッフルズだが、中国にとって失うものがあまりにも多い。世界トップクラスのサービス水準、名門ブランドは、いくら金を積んでも作れるものではない。長年の文化の伝承、蓄積が必要だ。

 最近、中国は産業構造変革の一環として、文化産業に注力し始めたが、相変わらず、立派なオペラハウスや劇場といったハコものにしか目を向けられていないようだ。結局、中国はすぐハードに走ってしまう。

 ソフトとは何か。まず、謙虚に考えてほしい。

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