汚染されたGDP、白金でも黒金でも偽札でなければ金は金だ

 昨日、告知した「外国人社会保険義務化確定と最新労務事情セミナー(10月17日)」は、わずか1日で埋まって満席となった。幸い翌週の大会場の予約が取れ、60名の追加開催(10月24日)が決まった。

 日本企業の遵法精神には脱帽だ。新法令の公布や法令改正に、一早くアクションを取ろうとする。中国企業はどうだろうか。某中国企業の経営者A氏が私に計算問題を出してくれたことがある。

 「工場は廃棄物を川に流していると、年間100万元の利益が出る。法律を厳格に守ったら利益が50万元になってしまう。法律を無視して捕まったら50万元の罰金、さらに当局と交渉したら30万元に負けてくれるかもしれない。捕まる確率は10%未満。さて、あなたは、どうするか・・・」

 これは、中国の現状だ――。遵法コストと違法コストの逆転。そして、重要なことだが、中国のGDPに、このような違法経営による所得も算入されていることを、決して忘れてはならない。

 「環境を犠牲にして得た、血のにじんだGDP」。最近このような表現をしている識者やメディアもいるが、異なる側面から捉えると、「法治を犠牲にして、黒く染まったマネーの混じったGDP」と言っても差支えないだろう。環境と一緒にGDPも汚染されているのだ。

 そこで、「白い金でも黒い金でも、偽札でなければ金は金だ」と、反論されるかもしれない。が、これでいいのだろうか・・・。中国の成長や台頭をもう少し冷静な目線で注視したい。

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