マレーシアのドリアン、中国市場で売れなくなる?

 今朝、マレーシアの新聞を読んだら、こういう記事があった――。中国は、ドリアン、しかも高級品種の開発に成功し、量産に取り組んでいると。

 マレーシアは、ドリアン生産大国で、中国が輸出先として、最大の市場になっている。しかし、市場が産地になれば、マレーシアのドリアン農家にとって強力な競争相手に変わる。とりわけ価格面では中国に太刀打ちできない。ドリアン栽培にあたって、中国の業者がマレーシアの栽培技術や風土を入念に研究してきたようだ。この辺、職人的で日本人に似ている。

 日本人は職人、中国人は商人。そう言われてきた。では、「職人が商人になること」と「商人が職人になること」、どちらが簡単かというと、後者。しかも、商人は、マーケット・インで職人になるから、製品が売れやすいのだ。「この道一筋」の時代ではなくなった。二筋も三筋も必要だ。

 中国人は商人だった。技術開発に余分なコストをかけず、安いところから原材料や部品を調達して組み立てて付加価値を載せて高く売ることが、従来のビジネスモデルだった。しかし、日米・西側はこのモデルを破壊し、供給チャンネルを遮断するようになると、中国人はやむ得ず自前の開発に取り組み、職人にならざるを得ない。

 中国人を商人と職人の二刀流にしてしまうのは、賢明とは言えない。中国人はついに気づいた。職人になり、産業チェーンの川上まで独占したほうがより強くなれる。より稼げる。自動車に続き、後3~5年で中国は半導体製造大国になる。もう1つ、あまり報道されていないが、農業。食糧自給率をどんどん上げていく。

 習近平政権の政策は、正しい。中国の国益を考えての戦略である。

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